マネジメント

自己啓発業界では常識の「ピグマリオン効果」のウソ

※本ブログは桐生が過去にメルマガで配信した

内容を再編集して投稿しております。

 

こんにちは。

桐生です。

 

「ピグマリオン効果」

って知っていますか?

 

簡単に言えば、

「期待を受けることで

成果が向上する効果」

です。

 

と言ってもよくわからない

と思いますので、、、

 

ピグマリオン効果の話に

必ずと言っていいほど

セットで語られる

有名な実験を紹介しますね。

 

////////////

・1960年代にアメリカの心理学者

ロバート・ローゼンタールによって

行われた実験

・学生に対して知能テストを実施

・その後、テストの結果を知らない

教師に対して、成績の結果ではなく

ランダムに選びだした生徒について

「この子はテストの結果、

すごい潜在能力があることが

わかった!今後、学習成績が

大きく伸びるに違いない!」

と伝えた

・すると、その生徒は成績が

上がったうえに、その効果は

2年にわたって続いた

////////////

 

「あ~、この話ね!」

という人も多かったのでは

ないかと思います。

 

で、

自己啓発系のセミナー講師が、

この実験の結果を引用して、

「あなたが期待することで

部下は成果を発揮する」

「あなたが期待することで

クライアントは成果を発揮する」

といったことを話しています。

(桐生自身も過去にいろんな

セミナーに顔を出していたときに

よくこの話を聞きました^^;)

 

ですが…

 

実は、このピグマリオン効果

についてはさらなる調査で

すでに効果がほとんどないことが

判明しているようです。

 

結論から言えば、

その実験結果は以下でした。

 

—————-

・ピグマリオン効果は確かにあるが、

そんなに大きい影響はない

・また、効果についても初期段階の

一部の子にしか認められなかった

(一部の子が平均点を押し上げていた)

・高学年になるほど効果は薄れた

—————-

 

そして、この結果を見ると、

一つの仮説が生まれます。

 

それは、

「ピグマリオン効果で重要なのは、

“期待すること”ではなく、

“手間をかける時間が長くなること”である」

という当たり前の話です。

 

どういうことかというと、

 

「低学年の子の方が効果がある」

というのは、

「教師は最初は本当の能力が

わからないので期待をして、

その子に対して他の子よりも

目をかけて労力を割くから」

と考えると筋が通りますし、

 

「高学年になると効果が薄い」

というのは、

「しばらく経つと、

実際の成績が見えてきて

現実が見え始めるので、

成績が伸びない子には

あまり労力を割かなく

なるから※」

と考えられるからです。

 

※あるいは、すでに高学年に

なるまでの成績がわかっている

ので、いまさら「才能がある」

と言われても労力を割く気が

起きないのかもしれません

 

つまり、

何が言いたいかというと、

「期待するだけでは

何も現実は変わらない」

ってことです。

 

重要なのは”行動”であって、

行動量を増やすために期待を

持つならいいのですが、

成果を求めて期待だけに集中を

しても意味がないということです。

 

こんなのは当たり前の話なのですが、

人は弱いもので…

 

自分を高めようとして

自己啓発セミナーを受けに

いったはずなのに、

「なるべく楽して変われるメソッド」

を求めてしまう人が多いです。

 

そんな人が、セミナー講師の

「ピグマリオン効果って

知っていますか?

あなたが期待してあげるだけで

成果が上がるんですよ!」

なんていう甘い話に騙されて

しまうわけです。

 

そして、意味のない

「(行動の伴わない)期待だけする」

という行動を繰り返すわけです^^;

 

ということで、あなたは、

「ピグマリオン効果」と

「行動量」を関連させずに

話すセミナー講師がいたら

信じないでくださいね。

 

と、本来はここで終わるのですが、

最後に余計なことを言っておきます。笑

 

今回の話の中で、

「ピグマリオン効果の成果は、

一部の子が平均点を押し上げていた」

という結果も踏まえれば、

ランダムに選んだ子の中で

もともと優秀だった子が

特別目をかけてもらったことで

とんでもなく成長しただけ

(それ以外の子には

効果がなかった)

とも考えられます。

 

なので、本当に

「ピグマリオン効果」なんて

ものがあるのかすら

疑わしいのかもしれません^^;

 

桐生 将人

参考図書:『バカと無知』著:橘玲、出版:新潮社 (2022/10/15)

 

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