助成金

助成金を申請したら、逆に損した経営者(ヒント:残業単価)

※本ブログは桐生が過去にメルマガで配信した

内容を再編集して投稿しております。

 

こんにちは。

桐生将人(きりゅうまさと)です。

 

今回は前回に引き続き、

「お金をもらえると思って助成金を

申請したのに、逆に損をすることに

なってしまった経営者」

の話をします。

 

前回は、初心者かつ適当な労務管理

をしている会社が「未払残業代」を

払うことになって逆に損をするという

話をしました。

 

今回は、そういう会社ではなくて、

「もっとまともな労務管理をして

いるのに逆に損をした」という

話をします。

 

その要因は何かというと…

「未払残業代」です。

 

え…?結局同じかよ!

 

そう思うかもしれませんが、

中身は全然違います。

 

前回の話では、誰が見ても

明らかに残業代を払っていない

会社の話をしました。

 

今回の話では、一見しっかりと

残業代を払っているのにあることを

知らなかったせいで未払残業代を

払うことになってしまった事例です。

 

たとえば、以下のような社員がいた

としますね。

 

/////////////////

基本給 :176,000円

資格手当:10,000円

役職手当:20,000円

特別手当:15,000円

歩合手当:30,000円

住宅手当:10,000円

家族手当:15,000円

※月平均の労働時間は160時間

/////////////////

 

では、この社員が1時間残業をしたら

いくら支払うか…わかりますか?

 

基本給を160時間で割って25%増し?

 

資格手当と役職手当も足してから

160時間で割って25%増し?

 

いやいやすべての給与を足してから

160時間で割って25%増し?

 

……

………

 

正解は、これだけの情報では

「わからない」ということに

なります(ひっかけみたいで

すみません…^^;)。

 

ただ、なんとなく感じてもらえた

のではないかと思うのは、

 

「残業代の単価計算って意外と

よくわからなくないですか?」

 

ってことです。

 

たとえば、特別手当とか歩合手当

という名前だけでなんとなく残業代

には含めなくて良いと思った方も

いると思います。

 

逆に、何でも残業代に含めれば良い

という方もいるでしょう。

(これなら多めに残業代を払うこと

になるのである意味問題ないですが。笑)

 

では、法律ではどうなっているか?

 

それは以下のとおりです。

 

/////////////////

<労働基準法施行規則第21条 抜粋・まとめ>

次に掲げる賃金は、割増賃金の基礎となる賃金には算入しない。

1 家族手当
2 通勤手当
3 別居手当
4 子女教育手当
5 住宅手当
6 臨時に支払われた賃金
7 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金

/////////////////

 

これは限定列挙されていますから、

基本的に上記にあてはまらない手当

はすべて残業単価に含まれることに

なります。

 

つまり、前述の社員の給与の中から

除ける可能性があるものは、

「家族手当」「住宅手当」

「歩合手当」「特別手当」

といったところが考えられます。

(後者の2つは6または7に該当

する可能性があるので)

 

ただ、これは名称がその手当だから

残業代から除けるということではなく、

制度としてその性質の手当として

運用されているものを指します。

 

たとえば、賃金規程にも記載がなく、

一人の社員にだけ家族手当を出して

いて、他の家族のいる社員には支払

われていない「家族手当」は残業単価

に含まれる可能性が高いです。

(要は”実質家族手当ではない”と

考えられる可能性があるということ)

 

他にも、「特別手当」や「歩合手当」

という臨時に支払われていそうな名称

をしながら、結果的に毎月定額で支払

われている手当も残業単価に含まれる

可能性が高いです。

 

さらにいえば、「歩合給」に関しても、

一般的に「歩合だから残業代は関係ない

でしょ」みたいに思われがちですが、

ちゃんと残業代が発生します。

 

しかも、「歩合給」に関しては、

通常の月給とは違う計算式によって

残業代を計算しますので、固定給と

歩合給が混ざるような会社は給与計算

がより複雑化していきます。

 

こういったことを知らないままに

給与計算をしていると、

「意図せず残業単価を間違える」

ということは普通に起きます。

 

そして、恐ろしいのは、

残業単価を間違えたまま給与計算を

していると、「予期せぬ未払残業代」

が積み上がり続けるということです。

 

そして、それがようやく判明する

のが、労基署の調査の時や助成金

の申請時だったりするわけです。

 

しかも、皮肉なことに、こういった

「予期せぬ未払残業代発生」は、

人事制度設計に力を入れていて、

色んな手当を作っているような会社

や給与計算を社内で行っている

それなりの人数規模の会社にこそ

起きやすいということです。

 

桐生も今までに新規クライアントの

給与計算を見た際に、単純な給与

システムの設定ミスから法律の知識

不足によるミスまで、結構な頻度で

残業代のミスと遭遇しています。

 

もし、あなたの会社にも複数の手当

があるのなら、助成金申請はもちろん、

労働問題になる前に自社の残業単価

をもう1度見直してみてください。

 

助成金を申請して、逆に残業代を

大量に払うことになるなんて笑え

ないですからね…^^;

 

桐生 将人

 

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