マネジメント

誉めること、叱ること、どちらも意味がない理由

こんにちは。

桐生将人(きりゅうまさと)です。

 

これは教育の分野でも

マネジメントの分野でも

よく論争になる話ですよね。

 

要は、

「叱っても意味がない、

誉める方がいい」

とか

「最近の誉めてばかりの

風潮は良くない、昔は

叱られて人が育っていた」

とか

そんな話です。

 

最近は、これが、さらに

細分化されて、

「部分的に叱るほうが良い」

なんて話も出ています。

 

ですが、実際は、

「誉めることも、叱ることも、

そのどちらにも意味はない」

のかもしれません。

 

それは、二種類の計測値に

明確な相関性がない場合に

結果は「平均へ回帰する」と

言われているからです。

 

これは、最近、度々お伝えしている

ダニエル・カーネマン氏の著書

「ファスト&スロー」の中で、

紹介されている考え方です。

 

そこでは、あるイスラエル空軍の

教官の話が紹介されています。

 

その教官は、以下のような自説を

展開しています。

 

「うまくできたときに誉めると、

次はだいたい前ほどうまく

いかない。

まずい操縦をしたときに

どなりつけると、次は

だいたいうまくできる。

だから、誉めるのはよくて、

叱るのはだめだというのは

実際には反対である」

 

要は、”叱って育てる派”

ということですね。

 

それに対して、

ダニエル・カーネマン氏は

「平均への回帰」を用いて、

その事象を以下のように説明

しています。

 

////////////////////

<以下、意訳・抜粋>

・教官が観察したのは「平均への回帰」

として知られる現象である

・教官が訓練生を誉めるのは、たまたま

うまく操縦できて、平均をかなり

上回る腕前を見せたときだけなので、

次は高確率でそれよりも下手になる

・逆に、教官が訓練生をどなるのは、

たまたま平均を大幅に下回る腕前を

見せたときだけだから、次は高確率

で前よりもましになる

 

―引用・抜粋(No.4370)『ファスト&スロー(上) あなたの意思はどのように決まるか?』著:ダニエル・カーネマン、出版:早川書房 (2014/6/20)

////////////////////

 

つまり、この教官は、

ランダムに出てくる結果に、

勝手に意味づけをしてしまった

ということです。

 

これは他にもよく見られる話で、

他の例としては、スキージャンプ

の例がありました。

 

たとえば、1本目のジャンプで

かなり悪い結果が出たとします。

 

そして、2本目については、

それよりも良い結果が出たとします。

 

これをアナウンサーは以下のように

伝えるかもしれません。

 

「1本目で失敗したので、

もう後がないということで

気合が入ったのでしょう」

 

あるいは、

 

「1本目は緊張していましたが、

失敗したことで緊張がとけて

うまくいったのでしょう」

 

といった感じです。

 

なんとなく納得感がありますよね?

 

ですが、そこには明確な相関関係は

ないわけです。

 

つまり、実際は、いつもより悪い

結果が出たので、「平均への回帰」

によって、次の結果はそれよりも

マシな結果が出る可能性が高かった

だけということです。

 

こう考えていくと、

誉めることと叱ることに、

その後の結果を左右する

明確な相関関係がないの

であれば、、、

 

どちらでも同じだという

ことになります。

 

うまくいかなかったとき、

誉めようが、叱ろうが、

次は前よりもマシになります。

 

うまくいったとき、

誉めようが、叱ろうが、

次は前よりもうまくいきません。

 

だからこそ、もし、あなたが、

「短期的な成果を改善させるために、

誉めるか叱るかを迷ってしまう」

ということであれば、その答えは

「どっちでもいい」となります。

 

なんか今まで悩んでいたことが

アホらしくなりますよね^^;

 

ただ、もちろん「短期的な成果」

だけではなく、「長期的な成長」

を考えるのであれば話は別です。

 

今回はあくまでも「次の結果」と

いった「短期的な成果」の話です。

 

「長期的な成長」は、教育的効果

が入り込む余地があります。

 

なので、当然、ここにもまた、

誉めて育てる方が良いとか

叱って育てる方が良いといった

別の論争があるでしょう。

 

長くなるので、今回は、

そこには触れませんが…。

 

まぁ、どちらにせよ、

個人的には、叱ることは叱る側も

ストレスだと思うので、成果が

変わらないなら、常に誉める方を

選びたいところです^^;

 

桐生 将人

 

※本ブログは桐生が過去にメルマガで配信した

内容を再編集して投稿しております。

最新の情報を受け取りたい方は

メルマガ登録をぜひよろしくお願いいたします。