MENSAの思考

人がどれだけストーリーに騙されるのかの実験

こんにちは。

桐生将人(きりゅうまさと)です。

 

早速ですが、一緒に思考実験を

してみましょう。

 

リラックスして気軽に考えてみて

くださいね。

 

あなたが繁華街を歩いていたとします。

 

あなたの左手前方の居酒屋から

一人の中年男性が出てきました。

 

相当酔いが回っているようで、

絵に描いたような千鳥足です。

 

そのお店をよく見ると、

お店の前には日本酒の空き瓶が

大量に飾ってあります。

 

そして、窓枠には、

「生ビール達人のお店」という

ポスターが貼ってあります。

 

さて、では、あなたに質問です。

 

この千鳥足の中年男性は、

以下のどのパターンに当てはまるか

順位を付けてください。

 

//////////////

A.居酒屋でビールを飲んだ

 

B.居酒屋でビールを飲んだが、

お店に勧められてついつい

オススメの日本酒も飲んだ

 

C.居酒屋でビールを飲んで、

ツマミを何も頼んでいなかった

のに、お店に勧められてついつい

オススメの日本酒も飲んだ

//////////////

 

さて、順位が決まりましたか?

この質問をすると、多くの人は、

BやCをAよりも高い順位にします。

 

Cを選ぶ人は、ツマミを食べないで

空きっ腹に色んなお酒を飲んだせいで

ベロベロに酔っぱらってしまった

というイメージを浮かべたのでしょう。

 

Bを選んだ人は、色んなお酒を飲んだ

ことで酔っ払ってしまったという

自分の経験を引っ張ってきたのかも

しれません。

 

ですが、よくよく考えてみてください。

 

今回の話を確率的に考えると、

Aは常にBより高く、Bは常にCより高く

なります。

 

これは”ベン図”を考えると簡単に

わかる話です。

 

“ベン図”は学生の頃によく見た、

円が2つ重なり合って、

 

・Aであるという円

・Bであるという円

・2つの円が重なり合った部分はAかつB

 

ということを示す図です。

(わからない方は検索してみたら

すぐに「あれね!」となると思います)

 

今回のパターンで言うと、

3つの円があります。

 

1つ目の円…ビールを飲んだ

2つ目の円…日本酒を飲んだ

3つ目の円…ツマミを頼んだ

 

で、これで考えると、

A,B,Cは以下のようになります。

 

Aは、1つ目の円のすべてになります。

 

Bは、1つ目の円と2つ目の円が交わった

部分になります。

 

Cは、1つ目の円と2つ目の円が交わりつつ、

3つ目の円が交わっていない部分になります。

 

つまり、ここで重要なのは、

Bは常にAの範囲の一部でしかなく、

Cは常にAやBの範囲の一部でしかない

ということです。

 

よって、数字で考えると、

目の前を歩いている酔っぱらいは、

A,B,Cの順で確率が高くなります。

 

では、なぜ人はこんな簡単なことに

気付くことができないのか?

 

それは、無意識的な脳が数字に弱く、

逆に、筋の通ったストーリーが大好物

だからです。

 

たとえば、ベロベロに酔っている

人はビールだけではなく日本酒も

飲んでいる方が筋が通っているように

見えます。

 

そして、お酒を飲む人の多くは、

自身の経験として、ビールだけよりも、

日本酒を一緒に飲んだほうが酔っ払う

と思っているでしょう。

 

その自分の経験やわかりやすい

ストーリーが、確率のような数字

から脳を盲目にしてしまうという

ことです。

 

もし、今回の実験で正しい答えを

出せなかったとしても、それは、

普通のことです。

 

そんなにガッカリしないでください。

 

重要なのは、学びです。

 

つまり、無意識の脳がストーリーに

騙されやすいということを知っておく

ということです。

 

よく自己啓発系セミナーとか、

人を操作しようとする人種は

ストーリーを語ります。

 

彼らは、ストーリーは説得力があり、

数字的根拠なしに人を信じ込ませる

ことができることを知っています。

 

そして、人間の脳はもれなく科学

よりもストーリーを好むから危険

なわけです。

 

ただ、逆に言えば、もし、

ストーリーを冷静に見ることが

できれば、まったく数値的根拠が

なかったり、本当にただの寓話

だったりすることに気付くこと

ができるはずです。

 

あなたが、今回の実験で

正しい答えを出せなかったなら、

まずは、ストーリーテラーに

騙されないためにも、

「ストーリーを話されたら、

意識的な脳を使って数字を見る」

と覚えておいてくださいね。

 

桐生 将人

 

※本ブログは桐生が過去にメルマガで配信した

内容を再編集して投稿しております。

最新の情報を受け取りたい方は

メルマガ登録をぜひよろしくお願いいたします。