※本ブログは桐生が過去にメルマガで配信した
内容を再編集して投稿しております。
こんにちは。
桐生です。
統計や科学は好きですか?
最近、YouTubeやネット記事でも
「科学的根拠がどうのこうの」
という言葉をよく目にします。
逆に、ある一つの事実をもって
自分なりの仮説を語るだけで
「そんなのサンプル数1だろ!」
と批判されることもあるようです。
そんなわけで、
最近はビジネスにおいても
科学的根拠や統計的な裏付けのある
データを使って提案していくことが
良い戦略に思えます。
が、、、
実はそうではないかもしれません。
その理由は、
先日のメルマガでもお伝えした通り、
「人間は合理的ではないから」です。
まずは、以下の話を読んでみてください。
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「孤独死」は日本でも徐々に社会問題として
認知され始めています。
実際年間2万件を超えると言われるほど、
社会的に行政的にも大きな問題です。
しかし、2万という数字のインパクトを
私たちはいまいち実感できていないのでは
ないでしょうか。
ところが、世界最大の広告コンテストである
ニューヨークフェスティバルにおいて、
2014年に「孤独死した人の部屋を片付ける特殊清掃人」
に焦点を当てた作品が、金賞を受賞しました。
(2013年1月20日放送「特殊清掃人の結婚?”
孤独死”が教えてくれたこと」)
2万人という数字よりも、ひとりのストーリーに
焦点をあてるほうが人の気持ちは動かされたのです。
―引用(p.190):『人は悪魔に熱狂する 悪と欲望の行動経済学』著:松本 健太郎、出版:毎日新聞出版 (2020/7/11)
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つまり、人は大きな統計上の数字よりも
たったひとりのストーリーに興味を惹かれた
ということです。
ただ、これはあなたも理解できると思います。
たとえば、どちらの場合に「孤独死」の問題を
大きな問題として捉えるでしょうか?
・統計で毎年2万人が亡くなっている事実を知る
・自分の身近な人が孤独死をした経験をする
ほぼ全員が”後者”だと思います。
このように、
被害者が「その他大勢」ではなく、
「特定可能な個人」の場合に
はるかに強い反応を示す傾向のことを
「身元のわかる犠牲者効果」
と言います。
ちなみにこの効果について、
ナチス政権下のユダヤ人大量虐殺に
直接関与したアドルフ・アイヒマンは
以下の言葉を残しているそうです。
『1人の死は悲劇だが、
集団の死は統計上の数字に過ぎない』
その他大勢の死は単なる数字ですが、
自分の知っているたった1人の死は
その人の心を激しく揺り動かす
ということです。
では、話を戻します。
あなたがビジネスを通して、
なにかを販売したり、なんらかの
行動を起こしてもらいたいと思った場合、
「統計や科学」と「ストーリー」の
どちらを語ったほうが良いか?
そうです。
「ストーリー」だということです。
どんなに統計調査をしても、
科学的根拠で理論武装しても、
たった1人のストーリーには
敵わないということです。
そして、もし、あなたが、
これからストーリーを語っていこうと
思うのなら、誰かのストーリーよりも、
まずはあなた自身のストーリーを語る
ことをオススメします。
あなた自身のファンになってもらえれば、
それが最強の差別化になるからです。
(あなたは唯一無二の存在ですからね)
市場調査をしている暇があるなら、
自分の人生を見つめ直して、
「自分のビジネスで誰かを幸せにしたい」
と思ったときの熱いストーリーを
語りなさいってことです。
桐生 将人
―参考図書:『人は悪魔に熱狂する 悪と欲望の行動経済学』著:松本 健太郎、出版:毎日新聞出版 (2020/7/11)