人事労務

クビの交渉でやらない方がいいこと

※本ブログは桐生が過去にメルマガで配信した

内容を再編集して投稿しております。

 

こんにちは。

桐生将人(きりゅうまさと)です。

 

2021年はコロナの影響も落ち着く

と思いきや、年始早々に感染者数

の増加やら緊急事態宣言やら…

 

その影響が収束する様子が

見えませんね。

 

それでも失業者があまり増えない

のは、間違いなく雇用調整助成金

のおかげだと思います。

 

特例の対象になれば、

人件費の100%を補填してくれる

わけですから、収束後に事業を

継続していくつもりの企業なら、

社員のクビを切る必要がない

ですからね。

 

ですが、この雇用調整助成金も、

特例が2月末までで終了予定です。

 

政府は延長の検討に入っている

ようですが…

 

もし、コロナが収束していない

今の状況で終了することになれば、

経営者は、今まで助成金頼みで

抱えていた社員の大量解雇をせざる

を得ない状況になるかもしれません。

 

社員側からしても、

不景気で転職先も少ない中で

いきなり解雇されるわけですから、

なりふり構っていられません。

 

大人しく「今までありがとう

ございました!」なんて形で

終わるとは思えません。

 

こう考えると、もし、

2月末で雇用調整助成金が

終了すれば、その後数ヶ月の間に

社長と社員の泥沼の労働問題が

そこら中に発生するかもしれません。

 

ということで前置きが

長くなりましたが、

今回は、これからの万一に備えて、

“解雇するならこれだけは

知っておいてほしい”

ということをお伝えしたいと

思います。

 

解雇について重要な要素は、

大きく分けて2つあります。

 

それは、

・法律や就業規則

・心理的な交渉のテクニック

です。

 

法律等については以前にも

何度か取り上げているので、

今回は後者の方。

 

心理的なテクニックとして、

解雇の際に「やらない方が良いこと」

をお伝えしたいと思います。

 

先に結論を言うと、それは、

「何もしなければ損をする」

というような状況に社員を

追い込まないということです。

 

どういうことか?

 

たとえば、以下の質問に答えて

みてください。

 

////////////////

あなたは以下のどちらかの選択

を選べるとしたらどちらを選び

ますか?

・20万円を確実にもらう

・50%の確率で80万円をもらう

////////////////

 

さて、どちらを選びましたか?

 

………

…………

 

こういった質問をすると、

多くの方は「確実にもらう」

を選びます。

 

つまり、勝負しないことを

選択するわけです。

 

ただ、不思議なのは、

「期待値」で計算すれば、

参加した方が良くなると

いうことです。

 

※期待値で計算すれば、

確実にもらうのが「20万円」、

勝負をすれば「40万円」に

なるため

 

それにもかかわらず、

多くの人は「確実にもらう」

ことを選択するわけですから

不思議ですよね?

 

では、もう1つ。

 

以下の質問ならどうでしょう?

////////////////

あなたは以下のどちらかの

選択を選べるとしたら

どちらを選びますか?

・確実に20万円を失う

・50%の確率で50万円を失う

////////////////

 

どうでしょう?

 

こうなると、多くの人は、

「リスクを取る」ことを

選びます。

 

これは、人間の本能が、

「確実な損を避けたい」

と考えるからです。

 

そして、やはりこれも、

期待値とは逆の選択を

取っていることになります。

 

※期待値で計算すれば、

確実に失うのが「-20万円」、

勝負をすれば「-25万円」に

なるため

 

この2つの結果からわかるのは、

人は本能的に、

 

・「確実な得」と「損or得」が

選べるときは、損を避けるため

にリスク回避の選択をする

・「確実な損」と「損or得」が

選べるときは、リスクを取って

でも勝負する

 

ということです。

 

では、解雇について考えてみます。
もともと月給が20万円もらえている

人が、解雇される場合、収入はゼロ

になります。

 

この状態を「-20」としましょう。

 

ここで、会社を訴えた場合、

弁護士費用が30万円かかるとして、

会社に勝った場合は80万円を勝ち

取れるとします。

 

そうなると、この社員の選択肢は

以下のようになります。

 

//////////////////

・会社を訴えない場合は

「-20」の損失を確実に受ける

・会社を訴えた場合は、

(勝率を仮に50%だとすれば)

50%の確率で「80」の利得を得て、

50%の確率で「-50」の損失を受ける

//////////////////

 

つまり、「確実な損」と「損or得」

という後者のパターンになっている

ということです。

 

こうなると、社員は少しでも

「得する可能性」を得るために、

勝負を選択しようとします。

 

だからこそ、

「何もしなければ損をする」

という状況に追い込むことは

結果的に会社が訴えられる

可能性を高めることになります。

 

つまり、解雇の交渉について、

穏便な方向で進めたいなら、

必ず社員側に「確実な得」を

残しておく進め方をすると

良いということです。

 

よく経営者の方から、

「あのひどい社員をコテンパン

にしてほしい」的なことを

言われることがありますが、

法律で理詰めしていくと、

結果的に労働紛争に発展する

ことが多いです。

(もちろん、それでもしっかり

理詰めすれば労働紛争での勝率

は高くなりますが)

 

ちなみに「確実な得」というと、

安易にお金に走りがちですが、

別に金銭解決だけがすべてでは

ありません。

 

たとえば、

 

・会社の状況をしっかり話す

ことで今のままより転職した

方が「得」だと理解させる

・転職先を斡旋してあげる

・在職中に転職活動の時間を

確保してあげる

・失業保険の金額を計算して

イメージを明確にしてあげる

 

といった色んな方法があります。

 

むしろ、安易に「お金で釣る」

ということをすると、社員の

わだかまりが解消できずに、

金額を釣り上げられたり、

逆に労働問題に発展すること

もあります。

 

結局、解雇は人と人の問題です。

 

法律を振りかざして交渉を

避けてしまっては、まとまる

話もまとまりません。

 

ここまでテクニックの話を

してきたわけですが、結局、

最も重要なのは、社長が

ちゃんと話し合うことから

逃げないことかもしませんね。

 

桐生 将人

 

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