マーケティング

人員不足の会社と貧しい国の医療現場の共通点

こんにちは。

桐生将人(きりゅうまさと)です。

 

前回、社員が辞めて苦労した話を

書きましたが、桐生は独立6年で

何度もそんなことを経験しています^^;

 

最初は、初社員が半月で退社。

 

その後は、1人だけ定着するものの

2人目の社員が定着せず、3人連続で

1ヶ月くらいで退社。

 

その後、全社員がいなくなりました。

 

で、ようやく最近落ち着いたと思った

ところで幹部が退社。

 

さすがに、自分のマネジメントに

色々思うところがあるのですが、、、

 

良いのか悪いのか、

こういったことを何度も経験したので、

人員不足への対処については、

急速に経験を積むことができました。

 

そんな桐生が最近思ったのは、

人員不足の会社と貧しい国の医療現場って

似ているな〜ってことです。

 

そう思ったきっかけは、

最近読んでいた書籍

『FACTFULNESS』に

こんな話があったからです。

 

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<以下、意訳・まとめ>

 

・著者のハンス氏は医師で、若い頃に

貧しい国の貧弱な医療現場で医師を

していた

 

・そこでは、子供が毎年1000人運び込まれるが、

20人に1人は命を落とす

 

・原因は物資と人手不足、そして、

看護師のスキル不足だった

 

・点滴を打てば助かる子供に看護師は

点滴を打つことすらできないが、

医師が点滴を打つとその間に他の子供が

応急処置を受けられず死亡する

 

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こんな状況下で、ハンス氏は、

とにかく看護師ができる範囲の治療を

指示して、より多くの子供を救うため

に奔走していました。

 

そんなときに、大きな病院から

ヘルプに来た医師と言い合いになります。

 

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<以下、意訳・まとめ>

 

・ヘルプに来た医師とハンス氏には

考え方に明確な違いがありました。

 

・ヘルプに来た医師の考えは、

「目の前の患者に全力を尽くすべき。

自分にしか点滴ができないなら

何時間かかっても自分で点滴をすべき。」

 

・ハンス氏の考えは、

「そんなことをやっていたら、

その点滴を打っている間に、

何人もの子供が治療を受けられなくなる。

目の前で死んでいく子供だけではなく、

目の前に来ることなく死んでいく

子供にも責任を持つべき。」

 

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この話の結論は、医療現場で

朝から夜まで頑張るよりも、

簡易的な公衆衛生プログラムを

作ったほうがたくさんの人を救える

というものです。

 

ですが、結論だけではなく、

この話からは人員不足の中小企業が

そのピンチを乗り切るうえで

学べることが多くあります。

 

たとえば、

貧しい国の医療現場では目の前の

患者だけを見ていてはいけないように、

「人員不足の会社こそ、

目の前のクライアントだけに

集中してはならない」

ということが言えます。

 

人が余剰にいるときは、

目の前のクライアントだけに

集中していてもなんとかなる

かもしれません。

 

ですが、人手不足になってからも

それをやっていると大問題です。

 

ある会社で、当初1日3社の対応で

良かったものが、人員不足で

1日5社の対応をしなければ

ならなくなったとします。

 

そういったときには、1日3社の頃に

提供していた”必要以上のサービス”を

提供することはできません。

 

それをやった瞬間に残り2社はまったく

サービスが受けられない状況になるからです。

 

まさに、ヘルプの医師のように、

全員に応急措置を提供せずに、

目の前の患者にだけ全力を尽くして

他の患者を死なせるのと同じです。

 

とはいえ、このヘルプの医師も、

最初からハンス氏と同じ環境にいれば、

ハンス氏と同じ考えだったかもしれません。

 

このヘルプの医師は普段、大きな病院で

時間も資源も余裕があるところで治療を

しています。

 

その結果、「目の前の患者に集中する」

ということができたわけです。

 

それは非常に恵まれていることですが、

その常識は貧しい国の医療現場では通用

しないということです。

 

これを中小企業に当てはめると、

「人員過多の状態で提供している

仕事のやり方の常識は、人員不足の

状態になったときには通用しない」

ということです。

 

真面目な社員ほど、人員が余剰になれば、

余剰なサービスを提供するようになる

傾向があります。

 

それはクライアントに対して、

「もっと貢献したい」という

前向きな気持ちから起きるものですから、

多くの経営者はそれを止めないでしょう。

 

結果的に、それがその社員にとっての

“常識”になっていくわけです。

 

ですが、人員不足になっても、

その常識のまま働いたとすれば、

大問題が起きるわけです。

(ヘルプの医師と同じですね)

 

そうならないためには、

 

・人員過剰なときから余剰なサービスを

させないようにする

 

・人員不足に陥ったときに、

すぐに経営者主導で、

人員不足状態の仕事のやり方に

変更していく

 

ということが必要です。

 

こういった問題の根本の解決策は

「残業時間を増やす」ということではなく、

やはり、ハンス氏の主張するような

「公衆衛生プログラムの構築」といった

大きな”改革”なのでしょう。

 

ですが、中小企業において、

そんな組織改革やシステム改革は

一朝一夕ではできません。

 

だから、中小企業においては、

そういったことを試行しながらも、

貧しい国の医療現場のような状態を

戦っていく必要があるわけです。

 

最後に、ハンス氏の師匠の言葉を

紹介します。

 

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わたしの師匠、インゲヤード・ローズさんの

言葉を思い出す。

 

ローズさんは以前、コンゴとタンザニアで、

宣教をしながら看護師として働いていた。

 

彼女はわたしにいつも、こう言ってくれた。

 

最も貧しい場所では、すべてを完璧にこなす

ことはできません。

 

何かを完璧にこなそうとすれば、もっと

大事なほかのことがおろそかになりますよ、と。

 

―引用:参考図書 N0.1899

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中小企業にあてはめれば、

 

「人員不足でピンチのときに、

今まで通りに完璧なサービスを提供しようと思えば、

もっと大事なほかのことがおろそかになりますよ」

 

ってことです。

 

コロナ禍においても、相変わらず、

人員不足が解消されていない会社が

多いように感じています。

(桐生の会社もそうですが!)

 

そんなときは、今日の話を思い出して

くださいね。

 

桐生 将人

 

参考図書:『FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』著:ハンス・ロスリング (著), オーラ・ロスリング (著), アンナ・ロスリング・ロンランド (著), 上杉 周作 (翻訳), 関 美和 (翻訳)、出版:日経BP( 2019/1/11)

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