マーケティング

高額商品を喜んで買ってもらう方法

※本ブログは桐生が過去にメルマガで配信した

内容を再編集して投稿しております。

 

こんにちは。

桐生です。

 

前回に引き続き、

「利益率80%の商品を売りながら、

お客さまにも満足してもらう」

キーエンスの話です。

 

前回はその商品開発の秘密について

お伝えしてきました。

 

ですが、どんなに良い商品を開発しても、

買ってもらえないと意味がありません。

 

そこで重要なのが、

「提案力」です。

 

キーエンスは、

商品開発力だけではなく、

提案力も秀でているから

利益率80%の商品(高額商品)を

お客さまに”喜んで”買ってもらえる

わけです。

 

今回は、そのキーエンスの

提案手法である

「ソリューション提案」について

お伝えします。

 

「ソリューション提案」とは、

簡単に言えば、問題点(ニーズ)を

把握して、その解決策を提供する

(提案をする)ということです。

 

一見すると、

『そんなのすでにやっているよ』

と思うかもしれませんが、、、

 

もし、キーエンスと同レベルの

ソリューション提案ができているなら、

多くの会社がキーエンスと同レベルの

利益率になっているはずですよね^^;

 

ということで。

 

今回は、キーエンスの提案手法について

その内容を紐解いていきます。

 

きっと、あなたの商品やサービスの提案力を

飛躍させるヒントになるはずです。

 

今すぐ、学んでいってくださいね。

 

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お客さまは自分のニーズを知らない

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ソリューション提案をするために

最も重要なのは、お客さまのニーズを

把握することです。

 

ニーズ(お困りごと)がわからなければ、

ソリューション(解決策)を提供することは

できませんからね。

 

そこでよく行われるのが

「市場調査」です。

 

たとえば、

「アンケート等で

お客さまの声を回収する」

といった方法がよく行われて

いますよね。

 

ですが、多くの場合、

この調査はうまくいかないかも

しれません。

 

というのも、

「お客さま自身が自分のニーズに

気付いていないかもしれない」

からです。

 

そもそも、市場調査による

ニーズ把握の前提にあるのは、

「お客さま自身が自分のニーズを

知っているし、こちらから聞けば

それを正直に話してくれる」

ということです。

 

ですが、お客さまは自分の目に

入ってきた内容や自分の選択肢の

範囲内でしか言語化をすることは

できません。

 

たとえば、性能を犠牲にして

低価格でリリースした商品が

あったとします。

 

それに対して、

「どうすればもっと良い商品に

なるか意見を聞かせてください!」

とアンケートを取ったとします。

 

すると、

「もっと性能を高めてください」

「もっと安くしてください」

といった内容が寄せられるかも

しれません。

 

つまり、商品開発側の意図や事情は

関係なく、自分の目に見えているもの

だけをバシバシと送ってくるわけです。

 

それ以外にも問題となるが、

・ある特定のお客さまだけ持っている

特殊なニーズが寄せられる

・お客さま自身が実際に困ってはいないが、

あったらいいなレベルの意見が寄せられる

・実際はそう感じていないのに、

パッと思いついた作文が送られる

といった偽りのニーズが送られてくる

ことです。

 

こういった偽りのニーズに対して

必死にソリューションを提供したとしても、

それはキーエンスの言う「ソリューション提案」

とはまったく別物だということです。

 

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目を向けるべきは「潜在ニーズ」

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では、

「お客さまは自分の本当の

ニーズを知らないし、話さない」

という前提に立ったとして。

 

どうすれば、お客さまの本当のニーズを

知ることができるのか?

 

それは、

「お客さますら気付いていない

“潜在的なニーズ”を自分たちが

見つけ出す(聞き出す)」

ということです。

 

キーエンスには、

この潜在的なニーズを収集するための

「4つの質問」があります。

 

それが以下のものです。

(1)「なぜ必要とされているのか」

(2)「今まではどんな方法を採用していたのか」

(3)「今までの方法ではなぜダメなのか」

(4)「今までの方法でどれくらいの時間・工数がかかるのか」

 

これらについて順を追って

説明していきます。

 

まず、お客さまがニーズを

答えてくれたとしても

そのまま鵜呑みにしては

いけません。

 

ニーズを聞いたらすかさず

「なぜ必要としているのですか?」

と質問します。

 

あなたも聞いたことが

あると思いますが、

こんな話があります。

 

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「ドリルが欲しいです」

と言ってお店に来た客に、

「なぜドリルが欲しいか?」

と聞いてみた。

 

すると、

「壁に絵を掛けるための穴を開けたい」

ということだったので、

必要なのは「キリ」で十分だった。

————-

 

ここからわかるのは、

お客さまは

・商品(ドリル)が欲しいのではなく、

欲しい結果(穴)があるが、

・専門家ではないので、

自分が求める結果に対して、

どういった選択肢があるのか

を知らない

ということです。

 

その結果、多くのお客様は、

単純にニーズを聞かれると

自分の知っている選択肢の中から

「これが欲しい」と答えてしまう

わけです。

 

これでは潜在的なニーズに応える

ことはできません。

 

だからこそ、

お客さまに対して、

「その商品を求める理由」

を聞くことで、まずは、

お客さまの”求める商品”ではなく、

“求める結果”を把握することが

重要なのです。

 

そして、商品を求める理由を聞いたら、

次は「現状の確認」をします。

 

多くの場合、お客さまはすでに

求めている結果に対して何らかの

手段を講じています。

 

まったく新規で何かをするために

商品を求めることは少ないです。

 

たとえば、社労士に対して、

給与計算業務を依頼する場合も、

依頼するまでは給与計算を

一切していなかったということは

少ないと思います。

 

「今すでにやっているけれど、

何らかの理由でその方法を

変えたいから依頼をしている」

ということです。

 

だから、(1)の質問で

「必要としている理由」

を聞くだけではなく、

(2)と(3)の質問で

現状の問題点を把握することが

重要です。

 

現状の問題点をあぶり出すことが

できれば、潜在的なニーズを把握する

大きなヒントになるからです。

 

そして、最後に(4)の質問です。

 

これは前回のブログの話に

つながることですが、

現状の問題の大きさを把握することは、

価格決定をするための非常に重要な情報

となります。

(詳しくは前回のブログを見てください)

 

キーエンスはこの「4つの質問」を通して、

お客さまの潜在的なニーズを把握して、

ソリューション提案を行っています。

 

多くの会社がキーエンスと同じ成果を

あげられないのは、この潜在的なニーズの

“理解の深さ”に差があるのかもしれません。

 

ちなみに、

キーエンスの営業担当者の口癖は、

「今はどうやっているのですか?」

だそうです。

 

桐生自身も紹介先等から

「これが欲しいです!」

と言われると、

ついつい(1)や(2)を

聞き忘れることがあります^^;

 

お客さまの本当のニーズに

応えていくためにも、

僕らは「4つの質問」を徹底して

いきましょう^^

 

桐生 将人

 

参考図書:『キーエンス流 性弱説経営 人は善でも悪でもなく弱いものだと考えてみる』著:高杉 康成、出版:日経BP (2024/12/6)