人事労務

ワークライフバランスが「取り入れるもの」ではない理由

※本ブログは桐生が過去にメルマガで配信した

内容を再編集して投稿しております。

 

こんにちは。

桐生将人(きりゅうまさと)です。

 

あなたの会社では

「ワーク・ライフ・バランス」

を取り入れようとしていますか?

 

以前に、

筑波大学准教授の落合陽一氏が

「ワークライフバランスではなく

ワークアズライフだ」

という発言をして、個人的には

非常に共感をしたのですが、、、

 

まぁそれは置いといて。

 

ワークライフバランスは、

「仕事と生活の調和」という

意味で、内閣府のサイトには

小難しい言葉が並んでいます。

 

逆に、企業側の認識の方が

シンプルで、多くの企業は、

 

・過労になるほどの残業は禁止

・ちゃんと休みをとれるようにしろ

 

といった内容として捉えているかと

思います。

 

そこで、残業を抑制して、

休みを増やすことでワークライフ

バランスを実現しようと躍起に

なっているわけです。

 

ですが、、、

 

欧米でワークライフバランスが

生まれたそもそもの経緯を知れば、

その行為が明らかにおかしいこと

に気付きます。

 

以前のブログでもお伝えしましたが、

日本は「能力」で給与が変わりますが、

欧米はジョブ型雇用のシステムを

取っているため、「仕事内容」で

給与が変わります。

 

そして、ジョブ型雇用にはもう1つ

日本と大きな違いがありまして、

それが「基本的に仕事を変えられない」

ということです。

 

日本においては、能力に応じて、

営業を経験させたり、会計を経験

させたりといった配置転換が度々

行われます。

 

それによって能力を向上させて、

給与もあがっていくわけです。

 

ですが、ジョブ型雇用というのは、

たとえば「会計の仕事」で採用した

場合、ずっと「会計の仕事」を

させることになります。

 

当たり前ですが、仕事内容が

変わらないわけですから、

どれだけ能力が向上したとしても

ほとんど給与が変わることは

ありません。

 

そして、これこそがワークライフ

バランスが誕生した理由なのです。

 

どういうことかというと、

仕事内容は変わらず、

給与も増えないのであれば、

仕事時間を減らして、

たくさんの休みを取ることで

自らの幸福度をあげるしかない

ということです。

 

「だんだんと自分の生活を良く

していきたい」というのは、

多くの人に共通の欲求だと

いえます。

 

日本のようにがんばればがんばった

だけ昇進や昇給のチャンスがあるのなら

サービス残業をしたり、休日を潰して

まで営業に行くといったことをする

意味があります。

 

その結果が昇進や昇給として

跳ね返ってくるからです。

 

ですが、ジョブ型雇用においては、

どんなに能力が向上しても昇進や

昇給といったカタチでは跳ね返って

くることはありません。

 

その結果、能力が向上して仕事

のスピードがあがったことで

生まれた「時間」を対価として

受け取るようになったわけです。

 

つまり、

ワークライフバランスとは、

ジョブ型雇用で昇進や昇給と

いった対価が得られない人に

とっての対価であり、

ジョブ型雇用の特性上、

結果的に生まれたものである

ということです。

 

こう考えると、

ワークライフバランスが

「取り入れるもの」ではない

ということがわかると思います。

 

なぜなら、それはジョブ型雇用

という雇用システムを導入した場合の

副産物的なものに過ぎないからです。

 

そもそも、日本においては、

ジョブ型雇用ではなく職能主義が

取られています。

 

それを変えることなく、

ワークライフバランスだけを

取り入れようとすること自体

に無理があるのです。

 

自社でワークライフバランスを

取り入れたいと思っているのなら、

まずは「ジョブ型雇用」の導入を

することを考えてください。

 

順序を間違っては先に進まない

のが当然ですよね。

 

桐生 将人

 

参考図書:『人事の組み立て~脱日本型雇用のトリセツ~欧米のモノマネをしようとして全く違うものになり続けた日本の人事制度』著:海老原 嗣生、出版:日経BP (2021/4/1)

 

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