人事労務

内定取消で大問題になる前に・・・

こんにちは。

桐生将人(きりゅうまさと)です。

 

コロナショックによって、

「内定取消」のニュースを

耳にするようになりました。

 

「内定取消」はリーマンショックの

頃に大きな問題となっていましたので、

比較的、それが認められる要件や判例

も存在しています。

 

桐生の会社もそうですが、中小企業は

これから何が起きるかわからない中で

求人採用をしているわけです。

 

もしかしたら、「内定取消」を

しなければならないことも

これから起こるかもしれません。

 

そんなときが来ないことが一番ですが、

知っておいて損はないと思うので、、、

 

今回は「内定取消」についての話を

したいと思います。

 

早速ですが、あなたは「内定」とは

どのような状態かご存知ですか?

 

多くの人が誤解しているのは、

「内定」が労働契約をする前

の状態であると考えている

ということです。

 

その結果、内定取消も簡単に

できると考えてしまいます。

 

ですが、実際は違います。

 

「内定」の状態とは、

入社日までに解約が留保されて

いるが、労働契約自体は成立

している状態を指します。

 

つまり、内定取消には社員を

解雇するときと同じような要件

が求められるわけです。

 

たとえば、内定取消をするとしたら、

「会社が知り得ない事由が発生する」

ということが必要になります。

 

つまり、労働者側に完全に責がある

事由が発生する必要があるという

ことです。

 

そうではなく、会社側の都合によって

内定取消をする場合は、当然ながら

要件はもっと厳しくなります。

 

具体的には整理解雇の4要件である

以下によって判断されます。

 

・人員削減の必要性

・人員削減の手段として整理解雇

をすることの必要性

・被解雇者選定の合理性

・手段の妥当性

 

この要件をクリアしないままに、

軽い気持ちで内定取消をして、

裁判に発展すれば、会社は痛い目を

見るということです。

 

では、多くの人が誤解している

「労働契約の前の状態」という

ものが別にあったとしたら、

どうなのか?

 

これについては、当然、

労働契約の前なので、

取消は比較的容易にできます。

 

つまり、中小企業は「内定」

を安易に出すのではなく、

この”前段階”を有効活用すべき

と言えます。

 

では、この”前段階”とは何か

というと、、、

 

これが「内々定」です。

 

「内々定」は大企業ではよく

使われますが、中小企業では

あまり使われないかもしれません。

 

ですが、中小企業が感覚的に

使っている「内定」はどちらか

というと「内々定」に近いと

言えます。

 

というのも、

「内々定」は「内定」の前段階

であり、労働契約を締結する前

の状態(=取消が比較的容易)

と言えるからです。

 

ということで、これからは、

あなたも「内定」ではなく

「内々定」を使いましょう!

 

…ということが結論なのですが、

最後に注意点をお伝えしておきます。

 

「内々定」は取消が比較的容易で

ある以上、「内定」と違って

“縛り”をほとんど入れることが

できません。

 

もし、「内々定」と言って

おきながら、色んな”縛り”を

入れてしまうと、

「実質は内定である」

とみなされる可能性が高まります。

 

たとえば、

 

・社員側の入社の誓約

・社員側の就職活動の制限

 

といった縛りをすることは、

「内定」と見なされる可能性を

飛躍的に高めます。

 

「内々定」だと思って取消をしたら、

「内定」と見なされて痛い目をみる

なんてことになったら笑えません^^;

 

なので、「内々定」を出すときは、

たとえば「〜月〜日に内定を出す打合せ

をしますので、予定しておいてください」

といった内容に留めつつ、

「内定に至らない場合もあります」

という注意文言を入れておくのが

好ましいです。

 

ということで、、、

 

「縛れないなら意味ない!」

と思われる方は、内定取消は簡単に

できない覚悟で最初から内定を。

 

「取り消せる自由を持っておきたい」

と思われる方は、緩い縛りで最初は

内々定を。

 

自社の方針に合わせて使い分けて

みてくださいね^^

 

桐生 将人

※本ブログは桐生が過去にメルマガで配信した

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