MENSA社労士の視点

裁判を恐れる社長ほど、労働問題を裁判沙汰にする理由

こんにちは。

桐生です。

 

あなたは裁判沙汰の労働問題を

経験したことがありますか?

 

桐生自身は社外役員をしていた時代に

何度か経験したことがあります。

 

裁判沙汰の労働問題を経験すると

わかるのですが、社長も社員も

かなり疲弊します。

 

特に社長に関しては、

金銭的にも時間的にも精神的にも

かなりのダメージを受けます。

 

だからこそ、

本当に労働問題に強い会社は、

「裁判に勝つための対策」

ではなく、

「裁判になる前に着地させる対策」

をしているわけです。

 

そこで、今回は、

「労働問題を裁判沙汰に

発展させない方法」

についてお伝えしたいと

思います。

 

裁判前に終わらせられた問題を、

わざわざ裁判沙汰にしないためにも、

今すぐ学んでいってくださいね。

 

最初に重要なマインドセットを

お伝えします。

 

それは、

「裁判沙汰の労働問題を想定して

裁判前の労働問題対応をしてはならない」

ということです。

 

実は、桐生自身、

自分が社労士でありながら、

「労働問題は最終的には

裁判になるのだから、

本当は弁護士がいれば、

社労士なんていらないのでは?」

と思っていた時期があります。

 

だからこそ、

・判例を自分で学んで、

判例から逆算した労務対策をする

・自分に顧問弁護士をつけて、

弁護士見解もふまえたアドバイスをする

といったことをしてきました。

 

そして、事あるごとに

「裁判になったら…」

ということを口癖のように

言っていました。

 

そんなときに、

あるやり手の弁護士の方から

こんなことを言われました。

 

『弁護士は裁判前提だから、

どうしてもリスクを大きく考える。

でも、実際は裁判にまでいくことって

少ないから、本当は柔軟なアプローチ

の方が重要だと思っている。』

 

この話を聞いたときに

ハッとしました。

 

営業目的で

「労働問題がたくさん起きている!」

「裁判沙汰になるとこんな目に!」

といったことを声高らかに

言う人もいるかもしれません。

 

ですが、

桐生は社労士としての

12年のキャリアの中で、

裁判沙汰までいったケースは、

10件もありません。

 

弁護士が出てきたケースは

それよりも多いですが、

それも50件、100件というような

数ではありません。

 

過去を振り返れば、

多くの労働問題は経営者と社員の間で

終わっていたということです。

 

つまり、

ほとんど起きない裁判沙汰の

労働問題への対策ばかりを考えて、

“裁判前の労働問題対応”を

しっかりできなくなっていたとしたら

本末転倒だということです。

 

「労働問題」と聞くと、

“法律を盾にした殴り合い”

のように感じる経営者の方も

多いかもしれません。

 

ですが、実際の現場においては、

法的に白黒を付けられるところは

思った以上に少ないですし、

感情的な側面も多かったりします。

 

裁判は法的に白黒をつけるものですが、

裁判前の労働問題においては、

法律で明確になっていない部分の

アプローチが多くなるわけです。

 

それなのに、

これらを同じものと考えて、

間違ったアプローチをしてしまえば、

「本来は裁判手前で終わらせられた

労働問題を裁判沙汰にまで

発展させてしまうかもしれない」

ということです。

 

では、

「労働問題を裁判になる前に

着地させる対策」

とはどういうものか?

 

重要なのは、

・規程の積極活用

・感情面へのアプローチ

の2つです。

 

まず、

「規程の積極活用」

についてです。

 

裁判になった場合、

就業規則に規定があったとしても、

規定自体が無効になることもあれば、

根拠があったとしても運用実態によって

実質無効になるといったことも

想定されます。

 

ですが、裁判前の場合、

明確な法違反がなければ

就業規則の規定が無効になることも

運用実態によって強制的に無効に

なることもほとんどありません。

 

つまり、

「想定するリスクの大きさ」

に違いがあるわけです。

 

それにもかかわらず、

「裁判になった場合」を想定して、

積極的に規程を活用しなければ、

相手に対して会社の主張を通すことも

できません。

 

労働問題は長期化すると

それだけ裁判沙汰に発展する

リスクが高くなることが多いです。

 

たとえば、自分のケガや病気によって

長期間出社できない社員がいたとします。

 

会社の規程においては、

「休職満了で復帰できない場合は自然退職」

となっていたとすれば、

この規定を活用して「自然退職」という

根拠のある経営判断ができると言えます。

 

では、ここで

「裁判で覆された場合のリスク」

を考えるとどうなるか?

 

たとえば、想定されるのが

「解雇無効による地位確認」

のリスクです。

 

このリスクが実現すると、

・解雇が取り消されて本人は戻ってくる

・解雇無効になるまでの期間の給与を

払わないといけない

という最悪の事態になります。

 

休職のままにすれば、

このリスクは避けられるかもしれませんが、

結果として、いつまでも休職の状態が

継続してしまうことになるかもしれません。

 

そして、休職が長くなればなるほど、

生活不安等によって、裁判沙汰の労働問題へと

発展することもあります。

 

つまり、

・裁判沙汰の労働問題を想定していると、

規定活用が消極的になりすぎて、

円滑な労働問題解決ができなくなり、

・結果として、

リスクをおさえていたつもりが、

逆に裁判沙汰へと発展するリスクを

高めてしまう

ということです。

 

次に重要なのが

「感情面へのアプローチ」

です。

 

労働問題の多くは、

最初から法律の問題として

始まるケースは少ないです。

 

「雑に扱われた」

「軽く見られた」

「納得できないまま進められた」

 

こうした感情が積み重なった結果、

最後に法律の問題として表面化することが

多いです。

 

要は、

「労働問題の多くは、

感情的な問題である」

ということです。

 

そして、労働問題が裁判沙汰に

発展するきっかけについても

感情的な理由であることも少なく

ありません。

 

逆を言えば、

法律や規程を盾にした戦いを

しなかったとしても、

気持ちが落ち着いて冷静になって

くれれば、労働問題自体が終結して

しまうことさえあります。

 

だからこそ、

裁判前の労働問題において

「感情面へのアプローチ」

を軽視してはならない

ということです。

 

感情面へのアプローチとは、

いわゆる心理学的アプローチを

するということです。

 

法律や規程で殴り合うのではなく、

ときには相手に傾聴したり、

ときには厳しくストレートに伝えたり…

 

そういった感情的な側面からの

アプローチをすることで、

話をスムーズに進めることが

できるわけです。

 

実際、桐生はクライアントから

「どうやって伝えるのがいい?」

と聞かれたとき、

「規程のこの部分を使う」

だけではなく、

「臨床心理学的にこういった伝え方を

してみてはどうでしょう?」

という提案することも多いです。

 

『でも、本当に裁判沙汰になって

しまったらどうするんですか?』

 

そういう意見もあるかと思います。

 

そこで重要なのが

「判例から逆算した規程作成」

です。

 

「裁判沙汰を想定しすぎると

規定活用が消極的になってしまう」

と言っておきながら

矛盾するようですが、

「活用する規定の内容は

裁判沙汰を想定する」

ということです。

 

たとえば、

「不当解雇だ!」

と訴えられて

裁判になったとします。

 

そのときに争われるのは、

「その解雇に客観的に合理的な理由があり、

社会通念上相当なのか」

ということです。

 

そして、その根拠となるのが、

「就業規則の規定内容」です。

 

ですが、いくら

「就業規則に根拠がある!」

と主張したとしても、

「過去に判例で負けている

根拠をもとに解雇した」

としたらどうなるでしょう?

 

…おそらく同じ目に合いますよね。

 

だからこそ、

裁判になっても戦える会社に

なるためには

「判例から逆算した規程作成」

が重要なのです。

 

最後に今回の話をまとめます。

 

労働問題を裁判前に着地させ、

裁判になっても戦える会社にするには、

・判例から逆算して規程を作る

・裁判前では規程を積極的に活用する

・その運用では感情面を丁寧に扱う

この3つが重要だということです。

 

桐生はこのことに気付いてから

「弁護士もどき」ではなく

「裁判手前の労働問題の専門家」

を目指すようになりました。

 

だからこそ、今でも、

・判例から逆算した規程を作り、

・適正な規程活用のアドバイスをして、

・臨床心理学的アプローチを組み合わせる

ということをしているわけです。

 

あなたは裁判前の労働問題対策を

しっかりできていますか?

 

裁判で勝つ会社より、

裁判にしない会社の方が、

遥かに強い会社です。

 

桐生 将人