こんにちは。
桐生です。
厚生労働省から3月18日に発出された
通達はすでにチェックしましたか?
普通の人は見ないかと思いますが…^^;
ただ、今回の話は、
「知らなかった」では済まされない内容です。
そこに書かれていた内容を簡単に言えば、
「実態のない役員だと行政が判断した場合、
強制的に社会保険を喪失する」
というものでした。
例の国会議員の「国保逃れ」が発覚してから、
厚生労働省が是正方針を打ち出していましたが、
法改正ではなく「行政の運用」を指示することで
スピード重視の対処をした形です。
「実態のない役員」というと、
『自分は無関係だ』と思うかもしれませんが、
あなたにとっても他人事とは言えないかも
しれません。
というのも、
今回の通達においては、
「実態のない役員」について、
例の国会議員のような
“本当に実態のない役員”
というレベル感ではなく、
“想定以上に広い範囲の役員が対象になる”
ような内容が示されていたからです。
そこで今回は、
・急に役員の保険証が失効するケース
・どういった場合に「適用対象外」となるのか?
・あなたの保険証を守るためにはどうすれば良いか?
ということについてお伝えします。
「あなたの保険証が急になくなる…」
そんなことにならないためにも
しっかり学んでいってくださいね。
では、まずは
「どういった場合に役員の保険証が
使えなくなってしまうのか?」
についてお伝えします。
結論から言ってしまうと、
「役員としての実態がない場合に
社会保険の適用対象外となる
(=社会保険を喪失する)」
ということになります。
たとえば、今回の「国保逃れ」で
問題になったケースのように、
・一般社団法人の理事(役員)
になっているが、
・「業務がアンケートの提出だけ」
というように役員としての業務実態がなく、
・さらに「会費」と称して、
役員報酬以上の会費を支払っている
といった場合、
「役員の実態がない」と判断されて
社会保険適用の対象外になるという
ことです。
まぁ、正直ここまでひどい場合は、
「社会保険の適用対象外」と言われても
当然と言えるかもしれませんが…
今回の通達はこれだけではありませんでした。
というのも、「会費云々」は関係なく、
「役員としての実態」がなければ、
社会保険を喪失するように行政に対して
指示をしているからです。
つまり、あなたが今回のような
一般社団法人を使ったグレーなスキームに
手を出していなかったとしても、
意図せずに「役員としての実態」を満たして
いないことで、”急に保険証が使えなくなる
(社会保険喪失)”ということが起きるかも
しれないということです。
では、役員が社会保険の適用対象外となる
基準はどこにあるのか?
実はこの基準に関しては、
今回の通達が出る前から
すでに判断基準が示されて
いました。
具体的には、
社会保険の適用において、
「役員としての実態」は
以下の2つの条件を満たしているか
どうかによって判断されます。
————-
1.その業務が経営参画を内容とする
経常的な労務の提供に該当しているか?
2.その報酬が業務の対価としての
経常的な支払いに該当しているか?
————-
つまり、適用対象外になる基準とは、
“上記の1か2のいずれかを満たさない状態”
のことを指します。
たとえば、1を満たさない例として、
・役員会に出席していても
役員への連絡調整や職員への
指揮監督に従事していない
・法人の求めに応じて意見を述べる
立場にとどまっている
というものがあげられています。
要は、経営に対して積極的に
意見を述べたり、決裁権限がなければ
役員の実態はないと判断されるという
ことです。
次に、2を満たさない例として、
・役員会等への出席について
支払われる報酬等
・旅費など実費弁償的な支払
・退職手当
というものがあげられています。
つまり、役員の業務に対する
対価が生じていなければ、
そこには役員としての実態がない
と判断されるということです。
このように見ていくと、
一般的な会社で普通に役員を
している方であれば、
大きな問題にはならないと言える
かもしれません。
ですが、今回の話の本質は
そこではありません。
重要なのは、今回の話が
「悪質なスキームだけが
狙われるものではない」
ということです。
働き方が多様化した結果、
“会社側はちゃんと役員として
機能させているつもり”でも、
“行政から見るとそう見えない”
というケースも増えています。
たとえば、
・フリーランスを主体としていて、
別の会社の役員もやっている方
・複数の会社の役員を担っている方
・会長職に退いた元代表者の方
・保険や節税目的で法人を設立した方
・フリーランスとは別に、
別事業のために法人を立ち上げた方
等など…
今後はこういった
“ちゃんと役員として活動している方”
についても、行政側に
「社会保険の適用上は役員の実態がない」
と判断されてしまうリスクがある
ということです。
では、どうすれば、
「急に保険証が使えなくなる」
というリスクを下げられるのか?
それは、
「ちゃんとやっている」
だけではなく、
「説明できるようにしておく」
ということです。
たとえば、
“合理的な経営判断の結果、
少額の役員報酬で社会保険に
加入している人”のもとに
年金事務所の調査が入ったとします。
年金事務所は
「役員報酬が少額である」
という事実をもって、
「役員の実態がないのではないか」
と指摘してくるかもしれません。
そのときに、
「自分は役員として
ちゃんとやっている!」
と主張したところで
どうでしょうか?
現実には本当にちゃんとやっていた
としても、その証拠も説明根拠もなければ、
「きっと実態があるはずだ」なんて判断を
してくれる可能性は低いです。
結果として、
「役員の実態なし」と判断されれば、
意図せず社会保険が喪失されることに
なります。
それだけではありません。
最悪の場合、社会保険を過去に遡って
喪失するように指示される可能性すら
あります。
この場合、
・配偶者を扶養に入れていれば、
過去に遡って国民年金保険料が
発生することになる
・所得の高い方であれば、
過去に遡って高額な国民健康
保険料を支払うことになる
といったことが生じます。
今回の通達が発出されたこともあり、
今後は「少額の役員報酬で社会保険に
加入している」という理由だけで、
役員の実態を疑われてしまうことが
増えていくことも予想されます。
だからこそ、これからは、
「役員としてちゃんとやっている」
だけではなく、
「説明できる資料を揃えておく」
ことが重要なのです。
では、具体的にはどういった
資料を揃えればいいかというと、
最低限、以下の3つは揃えてください。
1.定期的な出勤を証明する「出勤記録」
2.役員会で経営参画していることを
証明するための「議事録」
3.決裁権限や業務を明確にするための
「職務分掌・決裁権限一覧」
こういったものを用意しておくことで、
行政調査等が入ったときについても、
「役員の実態がある(=社会保険適用)」
ということを明確に主張することが
できるようになります。
最終的には、
「行政側の総合的判断」となりますので、
より多くの証拠書類を用意しておくことが
有利だとも言えますが、
先の3つをしっかりと用意するだけでも
なにも用意しないよりは格段に
「あなたの保険証を守る」ことに
繋がると言えます。
繰り返しになりますが、
重要なのは、
「ちゃんとやっているか」
ではなく、
「証拠とともに説明できるか」
ということです。
この通達が出た今…
経営者にとって”待ったなし”の
状況が訪れました。
まだ何の証拠もない…
という方は、
1.出勤記録を付ける
2.議事録を残す
3.職域分掌・職務権限一覧の作成
というところから
すぐに準備をスタートして
くださいね。
桐生 将人
