こんにちは。
桐生です。
あなたは役員に出勤簿を
つけさせていますか?
一般的には、取締役や執行役員には
出勤簿をつけさせないことが多いと
思います。
執行役員は委任契約の内容にもよりますが、
取締役にまで出勤簿をつけさせている会社は
ほとんど見かけません。
ですが、、、
今後はあるケースにおいては
「執行役員はもちろんのこと、
取締役にも出勤簿をつけさせた方が良い」
と言えます。
というのも、役員に出勤簿を
つけさせなかったことによって、
「数百万円単位の想定外の出費」
が発生してしまうかもしれない
からです。
では、”あるケース”とはどういう
ケースなのかというと…
役員を「非常勤役員」として
社会保険の対象外と扱っている
ケースです。
社会保険の実務上において、
“報酬の発生している役員”は
原則として社会保険の加入対象者
となります。
ですが、すべての役員が社会保険の
対象となるわけではありません。
その役員が非常勤であれば、
社会保険の対象にならないことも
あります。
ですが、非常勤役員というものは、
登記簿等に登記することはできないので、
非常勤かどうかは「実態」で判断される
ことになります。
さらに、その要件についても
「これをクリアしたら非常勤役員」
という明確な数値基準がないので、
最終的にその役員が非常勤かどうかは
年金事務所の調査等で判断されることに
なるわけです。
そんなフワフワした内容にもかかわらず、
これが調査で覆されたときのダメージは
結構大きいものになります。
たとえば、非常勤役員として30万円の
役員報酬をもらっていたとします。
これが、調査で否認された場合、
過去2年に遡って社会保険料が発生するので、
月30万円×30%×24か月
=216万円の一括請求
という悪夢が訪れるわけです。
※前提:令和8年4月以降、協会けんぽ、東京都、介護保険あり、本人負担・会社負担合算、他に報酬はないものとして試算
だからこそ、
「非常勤役員だから社会保険対象外」
ということに安易に手を出してほしくは
ないのですが…
それでも手を出したいのであれば、
しっかりと証拠書類を残すことを
オススメします。
その1つが「出勤簿」です。
本来、取締役であれば出勤簿をつける
義務はありません。
ですが、
「出勤簿がない」ということは、
「出勤状況を明確に示すものがない」
ということになります。
「非常勤役員」においては
これが問題なのです。
繰り返しになりますが、
「非常勤役員」については、
明確な数値基準はありません。
ですが、それでは会社側で判断が
できないことになってしまうので、
実務上は日本年金機構の疑義照会において
以下の判断基準が示されています。
——————–
<役員の社会保険加入基準について>
(1)当該法人の事業所に定期的に出勤しているかどうか。
(2)当該法人における職以外に多くの職を兼ねていないかどうか。
(3)当該法人の役員会等に出席しているかどうか。
(4)当該法人の役員への連絡調整または職員に対する指揮監督に
従事しているかどうか。
(5)当該法人において求めに応じて意見を述べる立場に
とどまっていないかどうか。
(6)当該法人等より支払いを受ける報酬が社会通念上
労務の内容に相応したものであって実費弁償程度の水準に
とどまっていないかどうか。
——————–
ここから推察すると、
非常勤役員であるならば、
(1)定期的な出勤がない
(2)他の会社等で多くの職を兼ねている
(3)役員会等に出席していない
(4)役員への連絡調整または職員に対する指揮監督をしていない
(5)求めに応じて意見を述べる立場にとどまっている
(6)報酬が社会通念上労務の内容に相応したものであり、
実費弁償程度の水準
となっているはずだということです。
つまり、もし、あなたが年金事務所に
「非常勤役員だから社会保険対象外」
と主張するならば、上記の(1)~(6)を
証明できる証拠を用意しておくことが
重要だということです。
たとえば、出勤簿をつけておくことで、
“不定期な出勤”であることを示せれば、
結果的に「(1)定期的な出勤がない」を
証明することができると言えます。
同じように、
(2)他の会社等で多くの職を兼ねている
→他社の「役員就任書」等を用意しておく
(3)役員会等に出席していない
→「役員会の議事録等」を用意する
(4)役員への連絡調整または職員に対する
指揮監督をしていない
(5)求めに応じて意見を述べる立場にとどまっている
→「職務分掌や決裁権限一覧」等を用意する
といった形で証拠書類を用意しておくことが
可能です。
そして、こういった証拠資料を
しっかりと用意しておくことができれば、
年金事務所の調査が入ったときにも、
「非常勤役員」であることを明確に主張する
ことができます。
それによって、
「非常勤役員が否認されることによる
過去2年遡りの社会保険料請求」
のリスクを下げることができるという
ことです。
もちろん、非常勤役員は
(1)~(6)のすべてをもとにした
総合的判断になりますので、
「出勤簿だけつけておけばOK」
なんてことはありません。
ですが、証拠書類を準備する
第一歩として「役員の出勤簿」は
取り組みやすいかと思います。
調査が入ってからでは手遅れです。
想定外の社会保険料請求を防ぐためにも、
「非常勤役員だから社会保険対象外」
としている経営者の方は、今すぐに準備を
開始してくださいね。
桐生 将人
