MENSA社労士の視点

賞与の社会保険料が「結果的に発生しない」ケースとは?

こんにちは。

桐生です。

 

あなたはまさかこんなことをしていませんよね?

 

(1)「賞与」を「歩合」という名目で払う

(2)歩合のような手当を4月~6月だけ支払わない

 

前回のブログですでにお伝えしましたが…

 

安易にこういった方法を使って

賞与の社会保険料を回避しようとすれば、

年金事務所の調査で簡単に否認されて

過去2年分の社会保険料を遡って支払う

ハメになります。

 

ですが、賞与や歩合のすべてに

社会保険料がかかってしまうわけでは

ありません。

 

実は、ある2つの条件が揃えば、

歩合を使うことで、結果的に

賞与の社会保険料がかからなくなる

場合があります。

 

そこで、今回は

「例外的に社会保険料が発生しないケース」

についてお伝えします。

 

“安易な社会保険料削減”に手を出せば、

痛い目に合います。

 

「知らなかった」では済まされないので、

すぐに学んでいってくださいね。

 

冒頭で紹介した”安易な社会保険料削減”のうち、

(1)については前回のブログでお伝えしました。

 

そのときのポイントは、

・社会保険における賞与は名称に関係なく、

「臨時的、かつ、年3回以下」かどうかで

判断されるので、単に「歩合」という名称

にしても意味がない

・年4回の歩合にすれば賞与には該当しないが、

臨時的な報酬とみなされるので、実務上は

社会保険料決定の際に12按分して月額給与に

合算されるので社会保険料は回避できない

というものでした。

 

では、これをもとにどういった場合に

「社会保険料がかからなくなるのか?」

について考察します。

 

まず、(1)における問題は、

「歩合が臨時的な給与と

みなされてしまうこと」

でした。

 

そこで、歩合を年1回や年4回ではなく、

「毎月発生する手当」として規定する

ことにしたとします。

 

こうすることで、

月額の給与の1つと見なされるので、

「賞与」の社会保険料はかからなく

なります。

 

ですが、これだけでは歩合に対する

社会保険料を回避することはできません。

 

というのも、

社会保険料は年1回決定されますが、

その際に、原則として4月・5月・6月に

支払われた給与額を平均して算出するので、

毎月歩合が発生してしまうと、

歩合の金額も社会保険料に含まれて

計算されてしまうからです。

 

こうなってしまうと、(1)の事例と同様に、

「賞与の社会保険料は回避できたとしても

結果的に社会保険料の総額が変わらない」

ということになりかねません。

 

ちなみに、ここで安易にやってしまいがちなのが

(2)に記載した

「4月・5月・6月だけ歩合を支払わない」

というものです。

 

年1回の社会保険料決定においては、

原則、4月・5月・6月に支払われた給与額を

平均して算出することになるのであれば、

「4月・5月・6月だけ歩合を発生させなければ、

歩合は社会保険料に影響しなくなる」

と考えたわけです。

 

ですが…

そんなうまい話があるわけないですよね^^;

 

それぞれを切り分けて考えれば、

「うまくやれている」ように見えますが、

年金事務所の調査では”実態”が見られます。

 

恣意的に4月・5月・6月だけを避けた

歩合なんてものは賃金台帳を見れば

すぐにわかります。

 

どんなに「毎月の歩合」だと主張しても、

実態が「毎月の歩合ではない」と認定されれば、

「社会保険法上の賞与」または

「総額を12か月に按分して月額給与に加算する」

という対象になってしまいます。

 

実態が伴っていない

“安易な社会保険料削減”は、

簡単に否認されてしまうのです。

 

ですが、逆を言えば、

「実態がピタッとハマっているなら

否認される可能性は低い」

とも言えます。

 

具体的には、以下の2つの条件が

ピタッとハマってしまうケースです。

 

条件1.毎月発生する歩合を導入している

条件2.結果的に4月・5月・6月に歩合が発生しなかった

 

たとえば、こんなケースです。

 

————–

ある会社で毎月発生する歩合を

導入したとします。

 

今までは売上に対する成果報酬を

年2回の賞与で支払っていましたが、

スタッフのモチベーションアップを考えて、

実績に応じた歩合を毎月支払う方式に

変更することにしたわけです。

 

その会社の歩合の制度は、

「目標販売額を超えた場合に

その上振れ分の30%を支払う」

というものでした。

 

制度を1年運用して振り返ったところ、

歩合で支払った金額は、今まで賞与で

支払っていた金額とほとんど同額に

収まっていました。

 

それもそのはずで、

今回の歩合の制度については、

当初の賞与の計算式と同じ内容のまま

「毎月の手当」に変更したものだった

からです。

 

ちなみに、「毎月の手当」にしたものの、

歩合が毎月発生することはありませんでした。

 

その会社は業種的に4月~6月の時期は

閑散期で、どのスタッフも歩合制度の

目標販売額を達成することができなかった

からです。

 

結果として、この会社は4月~6月を除く、

9か月のみに歩合が発生していました。

————–

 

さて、どうでしょう?

 

まず、歩合が「毎月の手当」として

適正に運用されているとすれば、

「賞与」とみなされることは

ありません。

 

さらに、「実績」として歩合は

毎月発生していないものの、

それは「結果的にそうなった」

だけであって、

「恣意的に4月~6月を避けた」

ものではありません。

 

歩合は制度上、「発生しない月」が

あることは一般的にありえますので、

「12か月すべてに歩合の支払実績がない」

ということだけをもって

「毎月の給与であることを否認される」

ということはありません。

 

なので、今回のケースのように

たまたま4月~6月が閑散期な企業からすると、

「2つの条件」にピタッとあてはまってしまう

可能性も十分にあるということです。

 

もし、そういう会社だとすれば、

賞与を「毎月の歩合」に変更することで、

結果的に今まで支払っていた賞与の

社会保険料が発生しなくなるといえます。

 

安易な社会保険料削減に手を出すのは

絶対に避けて欲しいところですが、

今回のような

「社会保険料が結果的に減る給与支払の形」

を知っておくことに損はありません。

 

いろんな形を知っておけば、

“自社の実態にピタッとハマる形”

が見つかることもあります。

 

逆に、色んな給与支払の形を

知らないだけで、気付かぬうちに

すでに損をし続けているかも

しれません。

 

あなたの会社は自社に合った

給与支払の形を導入していますか?

 

この機会にまずは、

自社に合うのは「賞与」か

それとも「毎月の歩合」なのかを

考えてみてくださいね。

 

桐生 将人