こんにちは。
桐生です。
今となってはYouTube等で
広く知られるようになりましたが、
多くの社員にとって、
「社会保険料の負担は、
税金よりも遥かに大きい」
という事実があります。
最近、それに気付き始めた
社員と会社が協力して社会保険料を
削減しようとするスキームがあります。
それが、、、
「選択制確定拠出年金」
を活用した社会保険料の
削減スキームです。
どういう仕組かというと、
・月額30万円の給与を
もらっている社員がいた場合、
その月額給与を
基本給:25万円
生涯設計手当:5万円
のように2つに分ける
・生涯設計手当の中から
社員自身の選択で確定
拠出年金の拠出金額を
選択する
・たとえば、社員が5万円
拠出することを選択すれば、
結果的に額面給与が25万円に
なるので、社会保険料も税金も
削減される
こんな感じです。
こういった給与の一部を退職金に
回すようなスキームは以前から
ありましたが、それを確定拠出年金を
使って実現している方法になります。
この方法における会社側の
メリットは複数あります。
たとえば、
・確定拠出年金なので、
「支払う退職金を約束する」
といったリスクがない
・単に会社に内部留保する場合と
違って損金になるので税金が
かからない
・本人たちの給与が拠出金に
回るだけなので、会社側に
追加の支出がほとんど発生しない
(金融機関に支払う手数料はあるが、
大きな金額ではない)
ということです。
ですが、、、
この制度を安易に導入すると
痛い目を見るかもしれません。
それは、
「従業員トラブルの発生原因になる」
からです。
まず、会社側としては、
社会保険料を削減したいので、
「なるべく掛け金を多くしてもらう」
という心理が働きます。
なので、
・いかに確定拠出年金が良いかを
アピールしたり、
・将来の積立の不安を煽ったり、
・今の税金や社会保険料が下がる
ことを謳ったりと…
良いところを全面に押し出して
アピールします。
導入を支援する業者も一緒です。
(大体の場合は金融機関)
なるべく導入してもらうために、
あらゆる質問に対する完璧な答えを
用意して、丁寧に説明会等を実施して
くれるはずです。
ですが、この確定拠出年金は、
トラブルのモトとなる地雷のような
側面があります。
それが、
「原則60歳まで引き出せない」
というものです。
一般的に、社員は経営者よりも
こういった制度に関してあまり
詳しくありません。
そして、選択制確定拠出年金の場合、
自分の給与の一部を積み立てていく
ものになりますので、社員の中には
「自分の給与を会社に貯金している」
と勘違いしてしまう人も少なくありません。
これがトラブルの原因になります。
たとえば、
実際にあったケースでいうと、
・退職するときに
「退職金の積立と聞いていたのに
退職時に引き出せないなんて
どういうことだ!」
なんてことを言われた
・妊娠や引越で急な入り用があるときに
「今まで天引きされていたお金を
引き出させて欲しい」
と相談された
ということがありました。
要は、
「自分のお金を貯金していたのだから、
自由に引き出させろ!」
と言われたわけです。
もちろん、会社はしっかりと
「60歳まで引き出せませんよ」
ということは伝えています。
ですが、、、
人は都合の良いことしか
覚えていない生き物で、
「引き出せないデメリット」
をしっかり覚えている社員なんて
少ないのかもしれません。
さらに、
このトラブルが起きたときに
経営者が困ってしまうのは、
「本当にどうしようもできない」
からです。
というのも、
確定拠出年金における
「原則60歳まで引き出せない」
というルールがかなり厳格なのです。
『あくまで”原則”なんだから、
退職とか妊娠とか事情があれば
“例外”を認めてもらえるよね?』
…そう思うかもしれませんが、
全然認められません。
例外というのはあくまでも
「脱退一時金」という制度に
該当することを指しているもので、
実際には、かなり短い期間の加入
でない限り、その要件を満たす
ケースはほとんどありません。
その結果、大切な社員と
「言った、言わない」の
泥沼のトラブルに陥ってしまう
ことになるわけです。
ちなみに、今回は
社会保険料の削減スキームとしての
確定拠出年金の導入リスクについて
お伝えしていますが…
確定拠出年金の制度自体が
悪いわけではありません。
たとえば、
本当に「社員の老後」のことを考えて
確定拠出年金を導入した会社については、
今回のようなトラブルが発生するケースは
比較的少ない印象です。
というのも、
そういった会社であれば、
そもそも本人たちの給与から
拠出させるのではなく、
会社負担で拠出金を支払っている
ところが多いからです。
その結果、
プラスアルファで社員が拠出するような
仕組みを追加で導入した場合でも、
「あくまで会社の退職金制度に
自分が上乗せをしている」
という感覚になるようで、
「いつでも引き出せる貯金をしている」
といった認識のズレが生まれにくいのかも
しれません。
つまり、トラブルになるのは、
「もともと自分がもらえるはずだった
給与を積み立てていたのに、
それが自由に引き出せない」
という図式から生じているという
ことです。
最近、社会保険料削減だけを
目的とした確定拠出年金の導入を
提案する業者が増えているようです。
あなたも安易に確定拠出年金の
社会保険料削減スキームに手を出して
大切な社員とトラブルにならないように
気を付けてくださいね。
桐生 将人

