マネジメント

「AI問題社員」への対策はできていますか?

こんにちは。

桐生です。

 

最近、桐生の周りでは、

明らかに労働トラブルが増えている

という印象を受けています。

 

同じクライアントでも

昨年比の2倍以上になっている

会社もあるくらいです。

 

「労働者の意識が高まったから」

という話もあるかもしれませんが…

 

それだけではないかもしれません。

 

一般的な労働問題においては、

明確な労働者側の不満と要求がある

ことが多いです。

 

たとえば、

「残業代が正しく支払われて

いなかった」という不満であれば、

「残業代を支払ってください」

という要求があるわけです。

 

会社側はそれに対して、

「残業時間の認識が違う」等と

反論して、交渉は進んでいきます。

 

この図式において、

お互いの主張はぶつかっていますが、

「明確な要求をもとにした共通の

落とし所を探っていく」という意味では

健全な衝突とも言えます。

 

ですが、最近の労働問題は

少し違うケースが増えてきました。

 

それは、

「その主張をすることで

何を得たいのかがまったく

わからない不毛なトラブル

が増えた」

ということです。

 

たとえば、

「会社から無償で支給された

仕事着が分厚くて着心地が

悪いので、働きにくい。

こんな会社はひどい。」

という主張があったとします。

 

ですが、その会社では、

「仕事着は提供しているが、

服装自由の会社であり、

使う使わないは本人の自由」

というルールでした。

 

さて、どうでしょう?

 

『着心地が悪いと思うなら

着なければいいじゃないか』

 

普通に考えればそう思いますよね。

 

この会社でもそういった回答を

したわけですが…

 

その後に、書面で以下のような

回答が返ってきました。

 

それがこんな感じです。

 

————–

①「服装自由」という点について

確かに就業規則上では「服装自由」と

なっていますが、実際の現場では支給された

仕事着を着用している社員が大半であり、

お客様対応時なども「支給の服装が望ましい」

という雰囲気があります。

このような状況では、形式上は自由でも

実質的に指定していると言えます。

行政判断や裁判例でも、実態優先で

判断されるのが通例です。

 

②「無償提供だから問題ない」との認識について

会社が無償で支給していることは理解しています。

ただし、「提供」している以上、その品質や

快適性については一定の水準を確保する義務が

あるのではないでしょうか。

支給品が分厚くて通気性が悪く、夏場には

汗疹やかぶれの原因になるような状態であれば、

それは安全配慮義務違反だと言えます。

 

③「着用自由だから問題ない」について

現状では、支給品以外の服を着ると周囲から

「なんで支給の服を着ないの?」という目で

見られる状況があります。

よって、実質的に着用は自由となっていない

と言えます。

 

④本件についての回答について

上記について、会社としての正式な

見解を書面にて回答してください。

もし、回答がないようであれば、

労働基準監督署に相談させて

いただきます。

————–

 

『うわぁ…めんどくさ…』

そんな声が聞こえてきそうです^^;

 

ただ、もっと厄介なのは、

「結局、なにをして欲しいか

がわからない」

ということです。

 

結局のところ、

制服の素材を変えてほしいのか、

代替品を購入してほしいのか、

謝罪してほしいのか…

 

その要求や落とし所が

まったく見えないのです。

 

実は、こんな感じのやり取りが

最近非常に多くなりました。

 

…で、もうお気付きの方も

多いかもしれませんが、、、

 

このような不毛なトラブルの裏には、

「AIを使う問題社員」の存在がある

ということです。

 

会社が法違反をしているのなら

それは正すべきです。

 

それを訴えてくる社員のことを

「問題社員」とは言いません。

 

問題社員というのは、

会社に法的な落ち度がないのに、

「自分が被害を受けた」と思い込んで

会社に迷惑を掛ける社員のことだと

考えています。

 

以前からこういった社員は、

「自分ルール」を振りかざして、

会社に不当な要求をすることが

ありました。

 

ですが、最近になって、

こういった問題社員が

AIを活用するようになったことで、

状況はさらに悪化しました。

 

というのも、AIは、

使う人間の質問がおかしければ、

回答内容もおかしな方向にいって

しまいますが、

AI自体が非常に賢いので

一見もっともらしい文章を

生成してしまうからです。

 

結果として、

「パッと見ではそれっぽい

文章に見えるけれども、

実際は要求や落とし所のない

よくわからない主張」

が急増しているということです。

 

これが新しいAI問題社員型の

労働トラブルの正体です。

 

この新しい労働トラブルの問題は、

要求や落とし所が見えないので、

「交渉する」のではなく、

「ディスカッションをする」

という状態になってしまうことです。

 

しかも、その手間の負担は双方で

まったく異なります。

 

AI問題社員は会社からの回答を

サクッとAIに読み込ませて、

数分で作成したそれっぽい文章を

会社側に投げつけることができます。

 

その文章の根拠や内容が多少ズレて

いたとしても、 自分へのリスクなんて

大したものではないからです。

 

一方で、会社側はその主張に対して

適当な回答をしてしまえば、

揚げ足を取られるリスクがあります。

 

結果として、会社側は

毎回内容をしっかり読んだうえで、

幹部の確認を取ったり、

回答内容の法的チェックをする等で

何時間も時間を取られます。

 

ここからわかる通り、

AI問題社員型の労働トラブルは、

会社側だけが一方的に時間を

奪われる構造なのです。

 

では、こういったトラブルが

起きたときにはどうすれば

良いのか?

 

それは、法的に問題ないのなら

「一定の回答でやり取りを打ち切る」

ということです。

 

そもそも、法的に問題がないのに、

その議論を続ける必要はありません。

 

一人の社員からの貴重な

ご意見として受け止め、

「今後の参考にします」

と伝えれば良いのです。

 

ただし、なんでもかんでも

打ち切ってしまえば、

それは単なるリスクでしか

ありません。

 

あくまでも

「法的に問題がない」

と自信をもって言える

ことが大前提です。

 

毅然とした対応をするためには

その裏付けが必要です。

 

その裏付けとは、

信頼できる専門家と

法的根拠のある就業規則です。

 

それらがあるからこそ、

AI問題社員との不毛なディスカッションを

最短で終わらせることができるのです。

 

あなたのもとに頼れる専門家と

就業規則はありますか?

 

AI問題社員はどんどん増殖しています。

 

対策は「問題が起きてから」では

手遅れです。

 

ぜひ、今のうちに備えておいて

くださいね。

 

桐生 将人