※本ブログは桐生が過去にメルマガで配信した
内容を再編集して投稿しております。
こんにちは。
桐生です。
「トロッコ問題」って知っていますか?
哲学で有名な問題なのですが、
以下のような話です。
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あなたはトロッコの運転手です。
トロッコが急に暴走を始めて、
ブレーキが効かなくなりました。
ふと前を見ると、トロッコの進行方向に
5人の作業員がいることに気付きます。
このままだと5人の作業員を轢いて
しまいます。
そんなときにふと気付きました。
手元の緊急用のレバーを引くことで
遠隔で線路を切り替えることができる
ということに。
あなたはすぐに線路を切り替えようと
しましたが、、、
なんと、切り替えた先の線路にも
1人の作業員がいることに気付きます。
さて、あなたは線路を切り替えますか?
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この話には他にも複数のパターンが
ありますが、大筋の内容は変わりません。
要は、このままだと5人が死んでしまうが、
線路を切り替えれば1人が犠牲になるだけで
済むという話です。
さて、あなたはどちらを選びますか?
…
……
………
まぁ、正解があるわけではないので、
「5人」を選ぶ方も「1人」を選ぶ方も
いるでしょう。
ちなみに、複数の調査結果を見るに、
圧倒的に「1人」を選ぶ人が多いようです。
要は、誰かが犠牲になってしまうなら、
より少ない犠牲の方が良いだろうという
ことですね。
では、次にもう1つ問題を出します。
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あなたは医師です。
あなたの前には重篤な患者が5名いて、
それぞれ、心臓、肝臓、腎臓、肺、膵臓
に重篤な問題を抱えています。
ただ、あなたは非常に優秀な医者なので、
すぐに移植手術をすれば全員を救うことが
できます。
そんなときに、隣の病室で
1人の骨折して入院している患者が
眠っていることに気付きます。
さて、あなたはこの1人の患者から
臓器を取り出して、5人を救うことを
選択しますか?
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…どうでしょう?
きっと多くの人は5人を見捨てることを
選んだのではないでしょうか?
(実際、さまざまな調査においても、
「5人を見捨てる」が圧倒的多数派)
でも、不思議ですよね。
どちらも「5人と1人のどちらかしか
救えないときにどうするか」という
問題なのに、回答が真逆になって
しまうわけですから。
なぜ、こんなことが起きたかというと、
「人は自分に責任が伴う行動を避ける
傾向がある」からです。
前者の「トロッコ問題」においては、
トロッコが暴走したのは自分のせい
ではありません。
そのうえで、5人か1人が犠牲になるなら、
なるべく少ない犠牲の方が良いだろうと
「行動」を取ることができます。
(むしろ、1人の犠牲で済ますための行動を
取らなかったという責任を避けたいという
インセンティブも働くかもしれません)
後者の「医師の問題」はこれとは真逆です。
5人が死ぬのは自分の責任ではありませんが、
1人を犠牲にすることは完全に自分の意思の
もとに行いますから自分に責任が生じます。
だから、行動を起こすことができないのです。
今回の話はビジネスの「営業」においても
同じことが言えます。
購買行動の最も大きなハードルの1つは、
「選択の責任を取りたくない」という
ことです。
だから、
「最終的な責任はあなたにありますので、
選択するのはあなたです!」
と言ってしまえば、大多数の人は決断が
難しくなります。
この解決策としてよく紹介されるのは、
「リスクリバーサル」です。
要は、返金保証等をつけて、
相手のリスク(責任)を取り除いて
あげるということです。
それ以外の方法としては、
「購買行動を副産物として位置づける」
ということが考えられます。
これは少し高度な方法になりますが、
・解決しなければならない何かを提示して、
・それを解決するために仕方なく購買行動が
付随する
といった流れを作るということです。
いずれにせよ、行動を促すためには
「その人から選択の責任を
取り除いてあげること」
が重要だということです。
これは営業だけではなく、
マネジメントにおいても
同じことが言えます。
ぜひ、参考にしてくださいね^^
桐生 将人
―参考図書:『父が息子に語る 壮大かつ圧倒的に面白い哲学の書』著:スコット・ハーショヴィッツ、出版:ダイヤモンド社 (2023/11/29)