※本ブログは桐生が過去にメルマガで配信した
内容を再編集して投稿しております。
こんにちは。
桐生です。
あるマーケティングの本を開いたとき、
冒頭にこんな話がありました。
『現代の成熟社会においては、
消費者にヒアリングしても、
欲しいものややりたいことなんて
見つからない。
そもそも本人たちすらも
認識できていない。
だからこそ、もともと好きだったように
思わせたり、自然と購入する流れを作る
というアプローチがマーケティング戦略に
おいて重要となる。』
、、、こわっ。笑
マーケティングを学ぶ本に
「相手の無意識を操作して、
気付かず買わせる方法を学ぼう」
と堂々と書いてあるわけです^^;
ですが、きっと現代社会においては、
本当にそういうマーケティング戦略を
取っていかないと売るのが難しいのかも
しれません。
そこで、今回は以下の2点を目的として、
この恐ろしいマーケティングの内容について
あなたにお伝えしたいと思います。
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目的1.
マーケティングを悪用して、とにかく
なんでも売ろうとしてくる奴らの戦略を
知ることで、自分(あなた)を守るため
目的2.
(あなたが提供する)すばらしいサービスの
価値をしっかり市場に伝える戦略を知るため
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、、、悪用厳禁でお願いします!
さて。
今回の話は、簡単に言えば、
「行動経済学を学問としてではなく、
マーケティングにフル活用しよう」
という話です。
行動経済学は人間の心理をふまえた
経済行動を研究する学問です。
そこでは、人間が心理のせいで
「非合理な選択をする」という
事象が数多く紹介されています。
つまり、その人間の心理のトリガー
となるマーケティングを仕掛けることで
「非合理的(または合理的)な選択」を
させることができるということです。
今回は、行動経済学の中でも
マーケティングに活用できそうな
戦略(効果)を3つ紹介します。
『あの売り込みはこの効果を
使っているのではないか?』
『これは自分のビジネスにも
使えるのではないか?』
という2つの視点から学んでいって
くださいね。
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1.保有効果
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あなたの持っている車の上に
猫が気持ちよさそうに寝ていたと
したらどう思いますか?
あるいは、その猫が寝ぼけて、
落ちそうになって、あなたの車の
ボンネットに爪を立てて、
ずりずりと落ちそうな身体を
支えていたらどうでしょう?
相当な猫好きじゃない限りは、
「車に傷がつく~!!!!」
と嫌な思いをするのではないかと
思います。
では、あなたの車とまったく
同じ車が駐車場に停まっていて、
そのうえに猫が寝ていたらどう
でしょう?
そして、同じように猫が寝ぼけて
爪を立ててずりずり落ちていく
姿をみたら?
きっと、
「猫かわいいなぁ…」
「あぁ…車のオーナーさん
かわいそうだなぁ」
くらいしか感じないと
思うのです。
つまり、同じモノなのに
自分が保有した瞬間にその価値が
高まってしまったということです。
この効果は「保有効果」と言われています。
簡単に言えば、
「誰かのもの」より「自分のもの」を
大切に感じるということです。
これをマーケティング戦略として
活用してる代表格は「ウォーターサーバー」
が挙げられます。
ウォーターサーバーはよく
一旦無料で持たせる戦略を取ります。
(初月1ヶ月無料で、返品可等)
そして、一旦「あなたのもの」にして
しまうことで保有効果を生み出すという
ことです。
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2.ジンクピリチオン効果
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「世界の亀山モデル」って
覚えていますか?
そうです。
シャープの液晶テレビです。
2000年代に液晶テレビが
大流行していた頃に、
家電量販店で見かけた人も
多いかもしれません。
では、あなたは
なぜ、このテレビが
「世界の亀山モデル」なのかを
知っていますか?
ちなみに、桐生は
『亀山さんというシャープの偉い人が
世界一のテレビを開発したモデルだからだ』
と思っていました。
ですが、正解はまったく違います。
正解は、
「シャープが三重県亀山工場で生産する
液晶テレビに掲げられるブランド」
なのです。
つまり、単に
「シャープが亀山という場所で生産して、
世界に向けたモデルとして名付けた名称」
だということです。
このように、なんとなくすごそうな名前から
根拠もなく勝手にすごそうな想像をしてしまう
という効果を「ジンクピリチオン効果」と
いいます。
この効果をうまく使った一例として、
「ノンシリコンシャンプー」があります。
「ノンシリコンシャンプー」が出てきたときに、
ほとんどの人はノンシリコンの何が良くて、
シリコンの何がダメなのかもわかっていなかった
と思います(というか、桐生は今もわからないです)。
ですが、「ノンシリコンシャンプー」という名称は、
多くの人に「シリコン配合=なんとなく髪に良くない」
というイメージを想起させることで、市場を席巻した
そうです。
この効果で重要なのは
「凄そうな語感だけ」
だということです。
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3.エンダウド・プログレス効果
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電車に乗っていると、
サラリーマン風の男性がスマホを
ガンガン叩いている風景をよく見ます。
なにをしているんだろうと思うと、
結構な割合でスマホゲームに熱中
しています。
なんで、大の大人までもスマホゲームに
どっぷりハマってしまうのだろうか…?
実は、スマホゲームには非常に秀逸な
マーケティング戦略が仕込まれている
のです。
スマホゲームをやったことがある人は
わかるかもしれませんが、スマホゲームの
多くは最初にチュートリアルがあります。
操作の説明があり、その通りにボタンを
押していくと、気付かぬうちにステージを
クリアしたり、レベルが上がったり、
最初のアイテムを手に入れたりします。
一見すると、操作に慣れてもらうことを
目的としているように感じますが、、、
実は違います。
これは「エンダウド・プログレス効果」
を活用しているマーケティングの一例だと
いえます。
エンダウド・プログレス効果とは、
ゴールに向かって若干前進したと感じると、
ゴールに向かっていくモチベーションが
高まって続けたくなる傾向のことをいいます。
つまり、スマホゲームはチュートリアルで、
早い段階でゴールに向かって強制的に前進させる
ことで、ゴールに向かっていくモチベーションを
高めているということです。
さらにいえば、アイテムが増えたり、
レベルが上がっていくと、
そこまでかけた時間をもったいないと
思ってしまってゲームをやめることも
難しくなってしまいます(いわゆる
サンクコスト)。
また、スマホゲームは「1日1回しか
できないこと」があったりするので、
もったいない気持ちから毎日ログインして
しまって、習慣化の影響からもやめる
ことができなくなってしまうわけです。
ということで。
今回は、マーケティングに
活用できそうな「行動経済学」を
3つ紹介してきました。
あなたのビジネスにどう役立てるかを
ぜひ考えてみてくださいね^^
桐生 将人
―参考図書:『トリガー 人を動かす行動経済学26の切り口』著:楠本 和矢、出版:イースト・プレス (2020/11/7)