※本ブログは桐生が過去にメルマガで配信した
内容を再編集して投稿しております。
こんにちは。
桐生です。
これからあなたに
“ある実験”の話をします。
面白い実験なので、
ぜひ、一緒に実験結果を
想像してみてください。
被験者を2つのグループに分けて、
単語のセットから文章を作るように
指示をします。
1つのグループの単語にのみ
「シワ」や「忘れやすい」といった
“老い”に関する単語を入れておきます。
課題を終えてから被験者を
エレベーターに連れていく際に
こっそり彼らの歩く時間を
測定したとします。
さて、この2つのグループの
歩く時間はどう変わると
思いますか?
なんと、、、
“老い”について考えていた被験者は
ゆっくり歩くことがわかったのです。
これは、無意識のうちに、
“老い”というプライム(先行刺激)を
受けた結果によるものだということで、
「プライミング効果」と名付けられました。
さて。
これを聞いてどう思いますか?
『そんなバカな…。笑』
そう思うかもしれません。
では、さらにこの情報を聞いたら
どうでしょう?
「これを仮説・検証して発表したのは、
ノーベル経済学賞も受賞した
アメリカの行動経済学者、心理学者である
ダニエル・カーネマン氏である」と。
あなたもきっと、
この話が嘘っぱちではないことが
わかったと思います。
そして、
『こんなことがあるんだ!』
と驚いたかもしれません。
ですが、、、
、、、
、、、、、、
、、、、、、、、、
実はこの話、嘘っぱちなのです。
混乱するかと思いますが、
非常に大切な話なので、
順を追って話していきますね。
ダニエル・カーネマン氏の書籍で
有名なものといえば、間違いなく
『ファスト&スロー』です。
この書籍には人間の行動心理について、
興味深い内容がいくつも紹介されていて、
桐生自身もめちゃくちゃ学びになった
書籍の1つです。
ちなみに、
このブログを書いている時点で、
Amazonでハヤカワ文庫ベストセラー1位、
評価数1,518件、評価4.4という
とんでもない人気書籍です。
で、その書籍の中で語られていたものの
1つが「プライミング効果」でした。
桐生も2019年にこの書籍を読んだとき、
「プライミング効果」を知って衝撃を
受けたことを覚えています。
そして、いかにしてプライミング効果を
ビジネスに活かしていくかを研究していました。
このブログにおいても
その考えを紹介したことが
あったかもしれません。
だからこそ、ショックでした。
書籍が出版されてから数年後に、
「プライミング効果」にはほとんど
効果がなかったことを
ダニエル・カーネマン氏自身が
認めていたと聞いたときには。
具体的には、2011年に書籍が
出版されてから多くの研究室が
「プライミング効果」に関する
再現実験を行ったそうです。
ですが、それらは失敗が続いたそうです。
当初、カーネマン氏はその失敗を
認めようとしなかったようです。
その後、紆余曲折があったことは
ここでは省きますが、、、
最終的に6年間で、再現実験が
ことごとく失敗するのを見て、
ついにカーネマン氏は自分の
誤りを認めたそうです。
ここで何が言いたいかというと、
「誰の言葉だろうと、
どんな科学的根拠があろうと、
情報を鵜呑みにするな」
ということです。
最近、やたらと「科学的根拠」を
求める人がいます。
ですが、そういう人の危険性は、
「科学的根拠がある=正しい」
と盲信してしまうところです。
たとえば、今回の話のように、
「ノーベル経済学賞を取った学者が
実験・検証を行った科学的根拠の
ある研究結果です」
と聞くと、信じてしまう人は
多いと思います。
(何を隠そう、桐生も信じていました^^;)
ですが、そういうレベルの学者ですらも、
間違いがあるのです。
そして、何より恐ろしいのは、
間違いであったとしても、
それを認めるのではなく、
“正しさを立証しよう”とするので、
間違いであったという情報が
広まるのには時間がかかる
ということです。
そして、書籍についても
同じことが言えます。
本人がすでに認めているのに、
「ファスト&スロー」は内容を
差し替えられることなく
ベストセラーで売れ続けています。
もちろんすべてを差し替えることなんて
現実的には不可能ですが、誤った情報が
広がり続けることになると思うと、
恐ろしい話です。
桐生自身も2019年に書籍を読んでいるので、
もしかしたらすでにカーネマン氏が
誤りを認めた後だったかもしれません。
それなのに、今回の話を知ったのは
つい最近のことなのです。
とはいっても、
最新の情報を手に入れ続けるのも
難しいですよね。
では、どうすれば良いか?
それは、
「情報は鵜呑みにせず、
自分の頭で考える」
ということです。
冒頭の話を思い出してください。
最初、何の情報も与えられずに
プライミング効果の話を聞いたら、
多くの人は、
『そんなのありえないでしょ』
と考えたかもしれません。
ですが、ダニエル・カーネマン氏の
研究結果という情報によって、
考えを180度変えてしまった人も
多いと思います(桐生もそうでした^^;)。
ただ、振り返って考えると、
そのときに自分の判断が変わったのが
「自分が考えた結果」によるものか
「ノーベル経済学賞受賞学者」という
単なる情報によるものか、
どちらの影響だったかを意識的に
考えていなかったことに気付くのです。
だからこそ、こういった
判断が変わった瞬間こそ、
「自分が考えた結果なのか」
を意識することが重要です。
それを意識するだけでも
根拠の薄い内容に騙されることが
減るのはもちろん、
単なる情報を自分なりの考えへと
昇華させることもできます。
そして、少なくとも、
自分で考えれば、
結果的に誤りだったとしても
「自分の考えが間違っていた」
となるので、誰かに騙されたと
思うよりもマシですよね^^;
誰かに何かを語るときは、
単に得た情報をそのまま語る人もいますが、
情報にありふれた時代だからこそ
「自分で考えて、自分の言葉で語ろう」
ってことです。
―参考:『全員“カモ”: 「ズルい人」がはびこるこの世界で、まっとうな思考を身につける方法』著:ダニエル・シモンズ、クリストファー・チャブリス、出版:東洋経済新報社 (2024/2/28)
桐生 将人
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