こんにちは。
桐生です。
あなたが社員を雇用しているのであれば、
「労働契約書(または労働条件通知書)」
を使用しているかと思います。
経営者が会社を守るために
労働契約において欠かせない規定の1つが
「損害賠償」に関する規定です。
大体の場合は、
「故意または重大な過失によって
相手方に損害を与えた場合は
損害賠償を請求できる」
といった内容を記載しているのではないか
と思います。
これによって、社員に対する
・望ましくない行動を抑止する効果
・実際に損害が生じた場合の損失補填
の両方を実現するということです。
ですが…
実際のところ、こういった一般的な
「損害賠償」の規定だけではどちらの
効果としても少し弱いところがあります。
その理由は、
(1)あくまでも損害が発生しないと
損害賠償請求はできず、
(2)その損害賠償の金額の算定も
困難な場合が多い
からです。
そもそも、
『損害が発生していないのに
損害賠償請求したいときなんて
あるのか?』
と思うかもしれませんが、
結構あります。
たとえば、
あなたの会社を独立した社員が
守秘義務や競業避止に違反して、
・営業ツールを丸パクリで使用し、
・今まで関わっていた営業先に
挨拶に行っている
ということが判明したとします。
こういったときに、
経営者の感情的には
「約束を破ったのだから
損害賠償請求だ!」
と考えるのが自然です。
ただ、現実的には、
・営業ツールを完全にパクられたが、
自社の売上は下がっていない
・自社の営業先に挨拶に行っている
ことがわかったが、契約自体は
まだ奪われていない
という状況であれば、
「損害が出ていない以上、
損害賠償請求はできない」
ということになります。
さらにいうと、
こういったケースにおいて
「実際に売上が下がったから
損害賠償請求をしたい」
と考えた場合についても
・本当に独立した社員がパクった
チラシを使ったことで売上が
下がったのか?
・もし、そうだとしても、
具体的に売上が下がった
うちのどれくらいの割合が
それによる影響なのか?
ということを算定できなければ
損害賠償金額を確定することも
できません。
「車をぶつけてしまって
修理費が10万円かかる」
といったような損害であれば
わかりやすいと思いますが、
上記のような損害範囲が不明確な場合、
損害賠償金額の算定は非常に困難だと
いうことです。
では、どうすればよいのか?
それは「違約金」を使う
ということです。
違約金とは、
「契約に違反した場合に、
“あらかじめ合意した金額を
相手方に支払う金銭”のこと」
と定義されています。
つまり、損害賠償とは違って、
実際の損害金額とは関係なく、
原則として双方で合意した金額を
設定できるということです。
たとえば、イメージとしては、
以下のようなものです。
—————-
以下の各号のいずれかに該当し、
是正要請をしても1週間以内に違反行為を
中止しない場合、違約金として100万円を
支払うものとする。
(1)会社が独自に作成・保有する営業資料、
営業ツールを、全部または一部を複製・
転用・改変して使用する行為。
(2)会社の営業手法、その他の営業ノウハウを、
会社の営業活動と実質的に同一又は極めて
類似した形で利用する行為。
—————-
上記のような記載をしておけば、
実際の会社の損害がいくらだろうと
(あるいはまだ発生していなくても)
「違反すれば100万円請求する」
ということが可能だということです。
この「違約金」のメリットは、
・違反した場合の金額が明確なので
望ましくない行動をやらせないための
抑止力が発揮されやすいこと
・損害金額の算定も不要であり、
損失発生に関係なく請求できること
があげられます。
ただ、もちろん万能ではありません。
「違約金」については、以下のような
デメリットもあります。
・違約金の金額が高すぎると
公序良俗に反すると判断されて
それ自体が無効となる可能性がある
→明確な金額の目安や根拠があるわけ
ではないので、個別のケース毎に
金額の判断が必要になる
・労働契約においては損害賠償予定の禁止
という法律があるため、在職時の契約では
違約金の規定はできない
→よって、使用用途としては、
退職時の誓約書等で記載することになるが、
退職時の誓約書のサインを強制することは
できないので、本当にサインさせたい相手
(たとえば、故意に望ましくない行動をしよう
としている相手)に対して使えない場合もある
とはいえ、
上記のような使用上の注意はあるものの、
業務委託契約であれば当初から規定する
ことはできますし(労働契約ではないので)、
退職時の誓約書でも普通にサインして
もらえることも多いです。
実際に、桐生はクリエイティブな
書式を依頼されることが多いのですが、
そういった書式に「違約金」を使用する
ことはかなり多いです。
知ってる経営者は「損害賠償」だけでなく、
「違約金」をとっくに使っています。
もし、あなたがまだ「違約金」を
使いこなしていないなら、
今すぐに退職時の誓約書や
業務委託契約書を見直してみて
くださいね。
桐生 将人
