MENSA社労士の視点

13倍昇給したのに助成金が不支給だった理由

こんにちは。

桐生です。

 

「助成金が不支給になりました…」

そんな相談を受けました。

 

同時期に

「桐生さんのおかげで

80万円受給できました!」

という喜びの報告をいただきました。

 

まさに「天と地の差」という感じです^^;

 

これ、キャリアアップ助成金の話です。

 

でも、あなたが見ても

「そりゃそうだよね」

と思うかもしれません。

 

というのも、

この2社が全然違う内容だった

からです。

 

一方の会社は、

月給120,000円の契約社員を正社員化して、

昇給は助成金要件ギリギリの3%アップ。

 

つまり、月給123,600円にしました。

 

賞与も支給しましたが、

助成金を見据えてギリギリの

3万円の支給でした。

 

もう一方の会社は、

月給40万円の契約社員を正社員化して

45万円に昇給しました。

 

さらに賞与として

給与1か月分である45万円を

支給しました。

 

こんなのどう見ても

どちらが助成金を受給できたか

明らかですよね。

 

そうです。

 

80万円を受給したのは前者、

1円ももらえなかったのは後者です。

 

……

………

 

え?

 

そう思うかもしれませんね^^;

 

だって、後者の方が、

払っている実額も、

昇給している割合も、

賞与の金額も

すべてにおいて上回っている

からです。

 

なんなら昇給額でいえば、

後者は前者の13倍多く昇給を

しています。

 

ですが、現実は違った

ということです。

 

キャリアアップ助成金について、

勘違いしている経営者は少なくありません。

 

「契約社員を正社員にして、

処遇を良くしたらもらえる

助成金ですよね」

という認識です。

 

そして多くの場合、

・正社員にした

・ちゃんと昇給した

・ちゃんと賞与も出した

・だから助成金が出るはずだ

と考えています。

 

もちろん制度趣旨としては

間違っていません。

 

ですが、実務ではまったく違います。

 

助成金は、

社員にとって良いことをした会社を

評価する制度ではありません。

 

要件を満たした会社を評価する制度です。

 

この違いを理解していないと、

「社員の待遇を大きく改善したのに

助成金が出ない」

ということが起こるということです。

 

では、なぜ今回のようなケースが

起きてしまったのか?

 

その理由は、

「契約社員にも賞与を支給していたから」

でした。

 

要は、良かれと思って契約社員にも

賞与を支払ってしまった結果、

正社員化によって生じる待遇差が

なくなってしまったということでした。

 

ここで、

「それっておかしくないですか?」

と思う経営者の方もいるかと思います。

 

なぜなら、

今は「同一労働同一賃金」の時代だからです。

 

つまり、

正社員と契約社員の不合理な待遇差は

認められなくなっています。

 

それなのに、

助成金の世界では、

正社員化による待遇差が求められる

わけです。

 

以前から、

「税法と社会保険法は縦割りだから

そこには色んな矛盾がある」

という話がありました。

 

要は、

「法律は縦割りとなっている」

という話です。

 

ですが今回はそうではありません。

 

キャリアアップ助成金も、

同一労働同一賃金も、

どちらも厚生労働省の世界です。

 

同じ労働行政の中の話です。

 

それでも評価軸は違うということです。

 

同一労働同一賃金は、

不合理な待遇差をなくすことが目的です。

 

一方で、

キャリアアップ助成金は、

非正規雇用者の処遇改善や正社員化を

促進することが目的です。

 

同じ役所。

同じ労働分野。

 

それでも制度ごとに見ているものは違います。

 

制度には制度の目的があるからです。

 

だからこそ、今は、

法律ごとに切り分けるだけでは

足りません。

 

同じ法律分野の中でも、

制度ごとに切り分けて考える

必要があるということです。

 

今回のように、

同じ厚生労働省の制度同士でさえ、

評価軸が違うからです。

 

もちろん、

助成金を取るために

経営判断を歪めるとしたら、

それは本末転倒です。

 

一方で、

「うちは同一労働同一賃金を

意識しているから助成金は無理」

「経営判断を優先するから助成金は考えない」

と決めつけるのも早いです。

 

制度には制度のルールがあります。

 

そのルールを理解していれば、

経営判断を変えずに選択肢を

増やせることもあります。

 

桐生は法律に詳しいというより、

制度同士の境界線を見ています。

 

昔から、

・税金と社会保険

・労働法と税務

・会社法と労務

そういった縦割りを横断して

アドバイスするのが得意でした。

 

ですが最近は、

同じ法律分野の中でも

縦割りがあります。

 

今回のように、

同じ厚生労働省の制度同士でさえ、

評価軸が違うことがあります。

 

だからこそ、

経営者が感覚だけで判断すると、

「良いことをしたはずなのに

なぜか評価されない」

ということが起こります。

 

ですが、

経営者がその全部を追いかける

必要はありません。

 

本来使うべき認知資源は、

「売上や採用や組織づくり」

に向けるべきだからです。

 

制度は制度として整理し、

経営は経営に集中する。

 

それが一番効率的です。

 

だからこそ、

桐生はクライアントの

制度の整理を全力で巻き取って、

経営にフォーカスしてもらう

環境づくりを支援をしています。

 

それは自分がコストではなく

「モトの取れる投資になりたい」

と思っているからです。

 

桐生 将人