こんにちは。
桐生です。
「役員は社会保険の対象である」
社会保険の加入要件について
上記の認識をしている経営者の方は
多いかもしれません。
この認識については大部分が正解ですが、
詳細は少し異なります。
そして、細かな要件を知らないせいで
「本来は払う必要のない社会保険料まで
支払っている経営者」も少なくありません。
ただ、桐生自身が見てきた中には、
それだけでなく、
「本来払う必要のあった社会保険料を
(気付かずに)支払っておらず、
年金事務所の調査の結果、過去2年間に遡って
数百万円の保険料を払うことになった」
というケースもありました^^;
(もちろん、桐生のクライアントでは
ありませんが…。笑)
そこで、今回は、
役員が”適正な社会保険料だけ”を
負担できるように
「社会保険に加入しなくて良い役員」
についてお伝えしていきます。
「無駄な社会保険料を払わないため」
はもちろんのこと、
「2年間遡り請求」という余計なリスクを
抱えないためにも、
ぜひ学んでいってくださいね。
最初に結論からいってしまうと、
社会保険に加入しなくて良い役員とは、
・役員報酬が0円である
・非常勤役員である
の2つだけです。
逆を言えば、以下のような場合は
社会保険の加入が必要になります。
・役員報酬が少額でも発生している場合
・代表取締役の場合(非常勤役員になれないので)
・常勤役員の場合
この加入要件が重要なのは、
社会保険料のルールが
「自分が社会保険の加入要件を満たす
会社から受け取った報酬額をすべて
合算して社会保険料を算出する」
ということになっているからです。
経営者の方の中には、
複数社を経営し、すべての会社で
代表取締役になっているケースも
少なくありません。
そういった経営者がよくやってしまう間違いが、
「1つの会社で社会保険に入っているから
他の会社では社会保険には加入しない」
ということです。
正しくは、複数社で代表取締役の場合は
・全社で加入手続きをして、
報酬を合算して社会保険料を算出する
・報酬額に応じて社会保険料を
各社に按分する
・複数社の中から保険証を発行する
メインの会社を1つ決める
ということになります。
冒頭の話についても、
まさに複数社を経営する経営者が
このルールを知らなかった結果として、
「気付かず社会保険料を低く支払っていて、
調査で痛い目をみることになった」
というものでした。
逆に、社会保険料を払いすぎている
経営者もこのルールをしっかりと
理解できていないことが多いです。
「社会保険料は加入要件を満たす会社から
受け取った報酬は合算して算出する」
とお伝えしましたが、逆を言えば、
「自分が社会保険の加入要件を満たさない
会社から受け取った報酬については、
合算しなくて良い」
ということになります。
つまり、冒頭でお伝えした
社会保険料を払いすぎている経営者は、
「非常勤役員なら社会保険に
加入しなくて良い」
ということを知らなかった結果、
「本来合算しなくて良い報酬まで
合算して、余計な社会保険料を
支払っていた」
ということです。
そして、複数社を経営する経営者には、
このルールを理解していないが故の
「社会保険の払いすぎ・払わなすぎ」
が非常に多いのです。
ただ、ここで疑問に思うのは、
「非常勤役員かどうかは
どうやって判断されるの?」
ということです。
会社が勝手に
「この人は非常勤役員です!」
と言えば済むのかというと、
そんなわけもありません。
登記簿謄本に「非常勤役員」
という登記をすることもできませんので、
法的に非常勤役員を証明することは
難しいです。
結果として、
「非常勤役員かどうかは
実態で判断する」
ことになります。
ちなみに、決算書などで
「非常勤役員」という記載を
することもありますが、
それだけをもって社会保険法上の
「非常勤役員」と判断される
わけでもありません。
その理由は、
税法上の「非常勤役員」と
社会保険法上の「非常勤役員」
の判断基準が異なるからです。
では、社会保険法上の「非常勤役員」
とはどういう条件なのか?
実は、日本年金機構の疑義照会において
その一定の基準が示されています。
具体的には以下の内容です。
———————–
<以下、意訳です>
質問:
代表取締役以外の役員で社会保険の
対象になるのはどういった役員か?
回答:
以下の基準で判断することになる。
(1)事業所に定期的に出勤しているかどうか。
(2)会社における職以外に多くの職を
兼ねていないかどうか。
(3)役員会等に出席しているかどうか。
(4)役員への連絡調整または職員に対する
指揮監督に従事しているかどうか。
(5)会社の求めに応じて意見を述べる
立場にとどまっていないかどうか。
(6)会社の報酬が社会通念上労務の内容に
相応したものであって実費弁償程度の
水準にとどまっていないかどうか。
———————–
上記については、
「社保対象の役員」についての
判断基準になるので、
これを読み替えると
「非常勤役員」となる条件は
以下のように推察できます。
———————–
<非常勤役員の条件(推察)>
(1)会社に定期的に出勤して”いない”
(2)会社の職務以外に多くの職を”兼ねている”
(3)会社の役員会等に出席して”いない”
(4)会社の役員への連絡調整または
職員に対する指揮監督に従事して”いない”
(5)会社からの求めに応じて意見を
述べる立場に”とどまっている”
(6)会社の報酬が社会通念上、
実費弁償程度の水準に”とどまっている”
———————–
上記はあくまでも推察した条件には
なりますが、まずはこの条件を
すべてクリアするかどうかを
実務上の「非常勤役員の判断基準」
にしておいても良いと考えています。
というのも、
桐生自身の11年以上の社労士経験において、
「上記の条件をすべてクリアしているのに
調査で非常勤役員であることを覆された」
というケースは1件もないからです。
ちなみに、
非常勤役員を覆されたケースで
よくあるものとしては、
上記の判断基準を知らずに、
顧問税理士から
「(税務的には)非常勤役員に該当する」
と言われて勘違いをしてしまった
という話が非常に多いです。
同じ言葉でも、
その定義は法律によって
まったく異なります。
法律上の言葉の定義まで突き詰めないと
思わぬリスクを抱えることになるという
ことです。
あなたは適正な社会保険料だけを
支払っていますか?
まずは、今回お伝えした判断基準をもとに
「非常勤役員かどうか」をセルフチェック
してみてくださいね。
桐生 将人
