こんにちは。
桐生です。
前回は、
「確定拠出年金を利用した
社会保険料削減スキーム」
のリスクについてお伝えしました。
そのブログを書いてすぐに
「はぐくみ企業年金については
どう思いますか?」
という相談が複数寄せられました。
「はぐくみ企業年金基金」は
“確定給付型”の企業年金として
急拡大していることで知られて
いますよね。
そして、この企業年金も
本来の「社員の老後」というより、
社会保険料削減スキームとして
提案されていることが多いです。
スキームの方法自体も
ほとんど同じ内容で、
・給与を基本給と生涯設計手当
に分ける
・生涯設計手当で拠出した分は
額面金額が下がるので、
社会保険料や税金が削減される
・会社としては掛け金は損金計上可能
というものです。
では、何が違うのかというと、
“確定拠出型”の企業年金にあった
「社員とトラブルになるリスク」
がほとんど存在しないということです。
というのも、
確定給付型の企業年金は、
確定拠出型とは異なり、
・退職時に引き出すことが可能
・出産等のやむを得ない場合も
途中での解約が可能
といったように中途解約が
可能だからです。
なので、もし、従業員が
「貯金感覚」で積み立てをして
しまっていたとしても、
トラブルになるようなとき
(いわゆるやむを得ず引き出したいとき)
には、ちゃんと引き出しが
可能だということです。
これは社員にとってのメリットが
非常に大きいと言えます。
ですが、当然メリットがあれば、
その分のデメリットもあるはずです。
では、そのデメリットは
どこにあるのか?
それは、会社側にあります。
確定拠出型では、
「退職金額を約束するという
リスクがない」
ということをお伝えしました。
これが、確定給付型では、
「退職金額を約束する」
ことになります。
つまり、万一運用がマイナスに振れれば、
そのマイナスを会社が補填しなければ
ならないということです。
この点に関して、
導入を提案する運営会社は、
「安定した運用をするので
元本が割れることは滅多にない」
ということをアピールしてきます。
ですが、数年先ならまだしも、
退職金というものは、
10年先・20年先ということも
十分に考えられます。
では、
「10年、20年先も本当に
大丈夫と言えるのか?」
というと、、、
誰も確実なことは言えません。
それは市場状況にもよりますし、
あるいは会社の経営状況によるかも
しれません。
そもそも、
確定拠出年金が流行ったのは、
2010年頃に適格退職年金という
バブル時代の金利を前提とした
退職金制度の維持が困難になった
ことが大きな原因の1つです。
おそらくその当時も
「この金利よりも下がることはない」
と信じられていたはずです。
歴史は繰り返されます。
もしかしたら、
10年後や20年後には、
「こんな運用結果になって
しまうとは…」なんて
未来が訪れるかもしれません。
だからこそ、
社会保険料削減のことだけを考えて、
安易に確定給付型の企業年金を導入する
ことは、オススメできません。
それに加えて、
もう1つ問題なのが、
確定給付型の企業年金は、
確定拠出型の企業年金と比べて
金融機関に支払う手数料が高く、
スタッフの積立額が低いと
社会保険料削減額に比べて
手数料負けになってしまいます。
まぁ、ここらへんは規程等で一定の
対策はできるとも言えますが…
もっと根本的なことを言えば、
今後、法改正等で
「拠出金が社会保険料対象になる」
というリスクもあります。
現在、政府は年金制度を持続可能に
するために社会保険の適用範囲を
どんどん拡大していっています。
そう考えると、企業年金を使った
社会保険料削減のスキームは
行政も完全に把握していますから、
法改正は十分にあり得る話です。
そして、この法改正が実現してしまうと、
当初はコスト削減のために導入した制度が、
「余計なコストがかかるうえに、
将来の積立て不足のリスクを
生み出す制度」
に一変してしまうことになります。
しかも、そうなってから
「制度をやめます」なんてことを
会社側が一方的に押し通すことも
難しいです(不利益変更となるため)。
このように考えると、
目先の利益を求めて確定給付型の
企業年金を導入するのもリスクが
大きいということです。
ただ、どちらの企業年金も、
桐生は否定するつもりはありません。
あくまでも、
「社会保険料削減スキームのためだけに
導入すると痛い目を見るかもよ」
ということをお伝えしているものです。
逆を言えば、社員の老後を考えて、
本来の目的として導入するのなら
どちらの企業年金も悪いものでは
ありません。
まぁ、サラリーマン時代に
何も知らずに確定拠出年金を拠出して、
60歳まで資産をロックされてしまった
桐生としては「確定給付型」の方が
好みですが…。笑
桐生 将人
