人事労務

飲酒運転で交通事故。労災は受けられる?

※本ブログは桐生が過去にメルマガで配信した

内容を再編集して投稿しております。

 

こんにちは。

桐生です。

 

先日、こんな相談がありました。

 

「スタッフが業務中に車で

事故を起こしたのですが、

実はそのときに少しお酒を

飲んでいたようで、、、

労災申請はできませんよね…?」

 

そりゃそうですよね。

飲酒運転は法律違反ですから。

労災なんて申請できるはずもない…

 

と思うかもしれません。

 

ですが、結論から言うと、

飲酒運転でも労災保険が

適用される可能性はあります。

 

というよりも、

相当ひどいケースでなければ、

一部支給制限されるだけで

適用を受けられるケースが多いです。

 

労災保険には「支給制限」という

ものがあるのですが、そこには、

以下のような支給制限の事由が

記載されています。

 

—————

故意の犯罪行為若しくは重大な過失

→休業補償・傷病補償・障害補償は30%相当減額

 

故意の事故(たとえば自殺等)

→すべての保険給付が不支給

—————

 

飲酒運転は、上記における

「故意の犯罪行為若しくは重大な過失」

に該当するので、一部の保険給付が

制限されるものの労災自体が適用されない

わけではないということです。

 

ちなみに、労災保険においては、

休業補償、傷病補償、障害補償以外にも

療養補償、介護補償、遺族補償等の

給付があります。

 

これらに関しては、

飲酒運転をしていたとしても

支給制限の対象になりません。

 

なので、もし、労災事故が発生したときに

法律違反が絡んでいたとしても、労災申請は

した方が良いと言えます。

 

今回の話で重要なのは、

「法律は縦割りでみていかないと

思わぬ勘違いをしてしまうことがある」

ということです。

 

飲酒運転は「道路交通法」で禁止されています。

労災保険は「労災保険法」で支給制限について

規定しています。

 

この場合、道路交通法違反だから

労災保険が禁止になることはなく、

「労災保険法における飲酒運転という

行為や犯罪行為に対する取り扱いの

規定がどうなっているか」

が重要なわけです。

 

そして、今回のように

労災保険法で申請が禁止されて

いないのであれば、

他の法律を違反していたとしても、

普通に労災申請・保険適用がされる

ということです。

 

これと同じように税金と社会保険に

関してもごちゃごちゃにして考えて

しまう経営者の方は多いです。

 

実際に、桐生自身は10年以上にわたって、

経営者からの相談を受けてきたわけですが、

「税金がこうなっているから

社会保険もこうなんじゃない?」

という言葉を何度も聞いています。笑

 

そのたびに、

「ここは税法の部分、

ここは社会保険法の部分」

と整理していくのですが…

 

それをするだけでも、

本来得られるはずだった利益や

“やれるのに、やれないと

勘違いしていたスキーム”

が浮き彫りになってくるのですよね。

 

もし、あなたが今

「法的にダメ」と思っていることがあれば、

一度、「他の法的にはどうなのか?」と

考えてみてください。

 

その視点を持っているだけで、

見落としていた利益と選択肢が

浮かび上がってくるはずです。

 

桐生 将人