人事労務

シフト制の会社は今すぐ「ここ」を見直してください

※本ブログは桐生が過去にメルマガで配信した

内容を再編集して投稿しております。

 

こんにちは。

桐生です。

 

あなたの会社が

シフト制を導入しているなら、

今回のブログは読み飛ばさずに

今すぐ読んでください。

 

というのも、シフト制の運用において

“ある点”をしっかり準備しておかなければ、

あなたが優秀な弁護士を抱えていたとしても、

ボコボコにやられるリスクがあるからです。

 

なお、今回のブログはわかりやすく

表現するために「シフト制」という言葉を

使いますが、正確な名称は「1か月単位の

変形労働時間制」というものとなります。

 

その点だけご注意を、、、。

 

では、早速、結論から言うと、

今回の話のポイントは、

「シフト制の運用における

就業規則または労使協定への

シフトパターンを網羅的に

記載する必要性」

です。

 

実は、この話―

以前にもお伝えしたことがあります。

 

そもそも、この話の発端は、

令和4年10月の判例によるものです。

 

内容をざっくり言うと、

「シフト制を運用する場合、

その会社の社員に適用される

すべてのシフトパターンが

就業規則または労使協定に

網羅的に記載していなければ

無効となる」

というものでした。

 

桐生自身、シフト制を適用している

中小企業を数多く見てきましたが、

シフトパターンを網羅的に記載している

会社なんて見たことがなかったので、

この判例にはかなり衝撃を受けました。

 

ですが、正直な話、

この判例が出てからも、

中小企業にとってのリスクを

それほど大きく感じていたわけでは

ありません。

 

というのも、この判例は、

・敗訴した会社が大企業であり、

・中小企業のシフト制運用において

現実的ではなく、

・その後も同様の判例が出てくる

ことがなかった

からです。

 

なので、クライアントに情報提供は

していましたが、”それを徹底する”

ようなアドバイスまではしていません

でした。

 

ですが、最近、労働問題を対応する中で、

桐生の中の温度感が一気に変わりました。

 

というのも、

裁判沙汰の問題にまで発展した場合、

この判例を武器に「シフト制の無効」

を争われると、会社側がほぼ負ける

ということに気付いたからです。

 

もちろん、この判例は

最高裁の判決ではないので、

もし、最高裁まで争えば、

会社側の主張が認められたかも

しれません。

 

ですが、最高裁まで争った事例がない以上、

現段階ではこの判例がシフト制に対する

裁判所の法解釈だといえます。

 

ちなみに、この判例においては、

・代表的なシフトパターンは

就業規則に記載されていた

・店舗ごとにシフト表が作成され、

そこに適用されるシフトパターンは

記載されていた

という状況にもかかわらず、

シフト制が無効になっています。

 

正直、一般的な中小企業のシフト制運用

と比べれば、相当ちゃんと運用している

レベルです。

 

それでも無効になったわけですから、

ほとんどの中小企業においては、

「何も対策しないままに争われれば

シフト制はほぼ確実に無効になる」

と考えておいたほうが良いかも

しれません。

 

では、そもそもシフト制が無効と

なった場合に会社にどういった

リスクが発生するのか?

 

それは、未払残業代です。

 

シフト制の最大のメリットを

1つだけあげるなら、

「事前にシフトを組んでいれば

1日8時間、週40時間以上でも

それだけでは残業代が発生しない」

ということです。

 

店舗系のビジネスでは営業時間が

8時間を超えていることは普通に

あると思います。

 

そういった場合に、

たとえば1日通しのシフトとして

10時間働いてもらったとしたら、

毎回8時間を超えた「2時間」の部分に

残業代が発生することになります。

 

普通に営業時間通り働いてもらった

だけなのに、毎回2時間の残業代が

発生するなんて違和感がありますよね。

 

ここで、シフト制を適用した場合、

当初から1日10時間のシフトを

設定していれば、残業代を払うこと

なく10時間を働いてもらうことが

可能になります。

 

これと同様に、

シフト制を適用していれば、

月平均で週40時間以内となる限り、

ある週が44時間や50時間になったと

しても、残業代は発生しません。

 

これによって、多くの中小企業が

自社の営業時間に合わせた柔軟な

人員配置を実現できているわけです。

 

ただし、それができるのは

「シフト制が適用されている」

という前提があるからです。

 

つまり、シフト制が無効とされれば、

・1日8時間超で働かせていた日

・週40時間超で働かせていた週

について、残業代が遡って発生する

ことになります。

 

そして、この「未払残業代」という

ものは厄介なもので…。

 

実は先日紹介した”保険”において

カバーできない代表的なものの1つが

「未払残業代」なのです。

 

要は、

「本来払わなければならないものを

会社が払わなかったものなので、

それは補償できませんよ」

ってことです。

 

(この話が気になる方は過去のブログを

読み返してみてください)

 

では、どうすればいいか…?

 

その対策は2つです。

 

まず、王道の方法としては、

就業規則の別紙等にすべての

シフトパターンを記載する

ということです。

 

これによって、そもそもシフト制が

無効にならないように対策ができます。

 

とはいえ、現実的に、

すべてのシフトパターンを記載する

ことが難しい場合もあります。

 

その場合は、

・せめて代表的なシフトだけでも

就業規則に記載する

・そのうえで、固定残業時間を

多めに設定しておくことで、

無効になった場合も対策が取れる

ようにしておく

ということが考えられます。

 

いずれの方法にせよ、

労働問題が起きてからでは

手遅れです。

 

裁判沙汰の労働問題で痛い目を

見ないためにも、今のうちに

就業規則を見直しておいてくださいね。

 

ちなみに、今回記載した内容以外にも

シフト制には細かいポイントがいくつも

あるのですが、、、

 

それは内緒にしておきます。笑

 

重要なポイントはクライアントにだけ

伝える「えこひいきスタイル」なので、

ご了承ください。笑

 

桐生 将人