MENSAの思考

無意識が「あなたの1年先」を不幸にする

※本ブログは桐生が過去にメルマガで配信した

内容を再編集して投稿しております。

 

こんにちは。

桐生です。

 

前回のブログでは、

「あなたが10年後の自分を不幸に

してしまう理由とその回避法」

についてお伝えしました。

 

この話で重要なポイントは、

・「今の自分」は「10年後の自分」を

他人だと認識してしまうから、

・無意識的に「10年後の自分」に対して

貢献しようとしなくなるので、

・将来よりも今を優先した選択をして

しまい、10年後の自分の幸せを実現

することができない

ということだったわけですが、、、

 

いくら「10年後の自分」を他人のように

感じるといっても、「自分は自分」です。

 

『本当にそんなに自分のことを

考えられないものなのか…?』

 

そういう疑問もあったと思います。

 

そこで。

 

今回はいくつかの研究から

・人はどれだけ「将来の自分」を

他人と考えてしまうのか?

・「将来の自分」との関係性が

本当に重要なのか?

・手紙を書くことなんかで関係性が

本当に変わるのか?

といったことについて一緒に

見ていきましょう。

 

まずは、前回も登場したブリストン大学の

別の研究である「まずい液体を飲ませる実験」

というものを紹介します。

 

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学生に対して「科学の研究のため」という

命題の下、「ある”まずい液体”をできるだけ

多く飲んでもらいたい(飲む量は指定せず)」

とお願いした。

 

そのうえで、以下の条件で

「大さじどれくらい飲むか」

をヒアリングした。

 

1.今すぐに飲む

2.他人に分ける

3.次の学期までに飲む

 

要は、

 

1.今すぐに飲む=「今の自分」が飲む

2.他人に分ける=「他人」が飲む

3.次の学期までに飲む=「将来の自分」が飲む

 

ということです。

 

さて、結果はどうなったか?

 

1.今すぐに飲む=「今の自分」が飲む…平均大さじ3

2.他人に分ける=「他人」が飲む…平均大さじ8

 

…つまり、

「自分は大さじ3しか飲まないけど、

他人は大さじ8飲んでもいい」

と思ったわけです^^;

 

ですが、ここからが重要です。

 

3.次の学期までに飲む=「将来の自分」が飲む…平均大さじ8

 

要は、次の学期という1年以内の「将来の自分」すら

「他人」と同じように判断してしまったということです。

 

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ちなみに、よくある行動心理学の話で、

「今1万円受け取るのと、

1ヶ月後に1.2万円受け取るのと

どちらを選ぶか?

→多くの人が前者を選ぶ」

というものがあります。

 

これも同様に、

「今の自分が1万円受け取るのと、

1ヶ月後の自分(という他人)が1.2万円を

受け取ることを天秤にかけている」

と考えられるわけです。

 

さて。

 

1年以内の「将来の自分」すらも他人だと

考えてしまうことが改めてわかったところで。

 

次は

「”将来の自分”と関係性が良くなれば

本当に将来をよくできるのか?」

についても見てみます。

 

「円による関係測定法」という

面白い実験があります。

 

それはこんな実験です。

 

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・異なる重なり方をしている

2つの円の図を7パターンほど用意する

→かなり重なっているものから、

まったく重なっていないものまで

複数のパターンを用意するということ

 

・その図を恋人同士の2人に見せて

こんな質問をする

「自分にとって相手がどういった存在かを

表している図はこのうちどれですか?」

 

勘の鋭い方はすでにわかったかも

しれませんが、、、結果は以下の通りです。

 

・結果としては、重なっている範囲が

大きいほど、3ヶ月後も交際が続いている

可能性が高く、関係性に満足していて、

献身度も高いことがわかった

////////////////

 

では、この実験結果をもとに、

こんな実験を行いました。

 

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・まずは、「円による関係測定法」と

同じような質問をする

「あなたと10年後の自分の関係を表している

図はこのうちどれですか?」

・今回はここでは終わらずに、

さらに「行動心理学のテスト」を行う

→すぐにお金を受け取るか(今すぐ16ドル)、

後でより高額なお金を受け取るか(35日後に30ドル)

 

結果はどうなったかというと、、、

以下の通り。

 

・未来の自分に親しみを感じている

(=円の重なり具合が大きかった)人ほど、

後者を選んだ。

///////////////

 

ちなみに、この実験のあと、さらに事後調査で

150人の被験者を行ったところ、結果は同じだった

とのことです。

 

ここからわかるのは、

「将来の自分」との関係性を築くと、

「将来の自分」という他人へお金を分け与える

ことができるようになるということです。

 

(実際に他の調査でも、将来の自分に親近感が

大きい人ほど貯蓄が多かったということが

わかっています)

 

そして、最後に。

「関係性が大切だということはわかったけど、

手紙を書いたり、脳内会話なんかで意味があるの?」

という疑問について見ていきます。

 

取り上げるのは「メキシコ銀行」の事例です。

 

/////////////////

・メキシコ銀行との提携で、将来の年金を積み立てる

商品(いわゆる401k)を案内する際に、5万人の顧客の

半数は通常の401k案内、もう半数に老いた自分と対話

してもらうという取り組みを行った

 

・その結果、対話したグループは年金保険の加入だけ

ではなく、掛け金の増額も見られた

 

・さらに「自動積立口座の開設」についても同様で、

1つのグループは普通に営業して、もう1つのグループには

「定年後の自分に向けた手紙」を書いてもらった

 

・その結果、自動積立口座を開設する割合は手紙を書いた

顧客の方が圧倒的に高くなった

/////////////////

 

こういった事例からもわかる通り、

脳内の自分と対話したり、

手紙を書いて臨場感を高めることは

「将来の自分」との関係構築に

一定の効果が見られるということが

考えられます。

 

では、今回の実験や事例を見てきたうえでの結論です。

 

1.人は、10年後どころか1年後の「将来の自分」すらも

他人とみなしている

2.人は、「将来の自分」との関係性が良いほど

将来の人生を見据えた行動ができる

3.「将来の自分」との関係性構築は、

「将来の自分」との脳内会話や手紙を書く

といった程度でも効果がある

 

ということで、改めて。

 

僕らは将来の人生も幸せに生きるために、

「将来の自分」との関係性構築に今すぐ

取り組んでいきましょう^^

 

桐生も絶賛、「将来の自分」との

脳内会話に取組中です…!

 

桐生 将人

 

―参考図書・引用:『THINK FUTURE 「未来」から逆算する生き方』著:ハル・ハーシュフィールド、出版:東洋経済新報社 (2024/9/4)