※本ブログは桐生が過去にメルマガで配信した
内容を再編集して投稿しております。
こんにちは。
桐生です。
昔の話です。
A国のある男がB国の商人との
ちょっとしたトラブルで腕を
切り落とされてしまいました。
A国の男は将軍に泣きつきました。
将軍はすぐにB国の商人のところに行って、
賠償金として1億円を請求しました。
これは当時の人を殺したときの
賠償金として設定されていた値段でした。
B国の商人はこれに反発しました。
「自分たちは殺していないのに、
殺しの賠償金を払うのは高すぎる」
と反発したわけです。
そこで将軍はこう言いました。
「いいだろう。
では、俺が男に1億円を支払う。
そのうえで、お前らの誰かの腕を
切り落とす。
その誰かに支払ってやる金額は
お前らが勝手に決めればいい。」
さて、どうなったと思いますか?
そうです。
B国の商人は1億円を支払いました。
なぜかというと、
将軍の発言によって、
1億円が
「A国の男への賠償金」から
「自分たちの腕を守るお金」
に変わったからです。
では、もう1つ。
次はリアルな話です。
あなたは
「ハイアットリージェンシー空中通路落下事故」
という事故を知っていますか?
1981年にアメリカのハイアットホテルで
ずさんな工事をした空中通路が落下して
114人が死亡して、216人が負傷した事故です。
このときにかろうじて生き延びた方の1人が
非常に重篤な障害(下半身不随で、さらに、
首も動かせないレベルの重篤な障害)
を負うことになりました。
裁判所はこの方に対して約4億円の賠償金を
支払うことを命じます。
この決定に対して、ハイアットのCEOは
「高すぎる」と抗議したそうです。
では、ここであなたがハイアットの
CEOだったとして考えてみて欲しいのですが…
裁判官がこう言ったらどうしますか?
「4億円を払わないのなら、
相手にあなたを下半身不随で
首も動かせないほどの障害を
負わせる権利を与えますが
よろしいですか?」
おそらくほとんどの人は、
「4億円払います」と即答する
と思います。
この2つの話からはわかるのは、
「自分ごとになった瞬間に価格に
対する感覚はまったく変わる」
ということです。
どちらも共通するのは、
相手に対する賠償だったら
「高すぎる」と思ったものが、
自分を守るためのお金になったら
「まったく高額とはいえない」
というものに変わったことです。
これはビジネスにおいても
大きなヒントになります。
価格を提示したときに、
「高すぎる」とか
「もっと安くしてよ」
と言われるのは、
相手が、
「単にあなたに対して払うお金」
と認識しているからなのかも
しれません。
そういったときは
「そのサービスや商品が
自分を守るために必要なもの」
と認識してもらうことを
意識してみてください。
それは多くの場合、
サービスの内容そのものではなく、
伝え方や見せ方だったりします。
ついつい商品やサービスの改善に
意識がいきがちですが、
それと同じくらい「説明」が重要
だということです。
桐生 将人
―参考図書:『父が息子に語る 壮大かつ圧倒的に面白い哲学の書』著:スコット・ハーショヴィッツ、出版:ダイヤモンド社 (2023/11/29)