※本ブログは桐生が過去にメルマガで配信した
内容を再編集して投稿しております。
こんにちは。
桐生です。
2006年にマクドナルドは
「サラダマック」を
リリースしました。
これが誕生したきっかけは、
「ヘルシーじゃないから
マクドナルトには行かない」
というお客さまの声が
あったからだそうです。
“お客さまの声を聞く”というのは
マーケティングの鉄則です。
買い手が「欲しい」と言っているものを
そのまま商品化すれば売れるに決まって
いますからね。
ですが、、、
「サラダマック」は期待に反して
まったく売れなかったそうです。
なぜ、そうなったのかというと、
「人間は合理的ではない」
ということを見落としていたからです。
あなたにもこんな経験はありませんか?
・夏休みの宿題を計画的に進めた方が
良いことはわかっていたが、ついつい
先延ばしにしてしまった
・貯金をした方が良いことはわかっていても
目の前の欲しいものを買ってしまった
・食事の前に甘いものは食べないほうが
良いことはわかっていても、ついつい
間食してしまった
・家でコーヒーを作ってオフィスに
持参した方が安く済むのに、
カフェやコンビニでコーヒーを
買ってしまった
等など。
人には
「合理的にはわかっていても、そうしない」
といったことがたくさんあるということです。
だからといって
「あなたは合理的に生きるべし!」
なんてことを言いたいわけでは
ありません。
むしろ、今回、
あなたにお伝えしたいのは、
“人間はそういうものである”
ということを受け入れたうえで、
「それとうまく付き合っていく
ための知識を学ぼう」
ということです。
『そんなこと必要あるの?』
と思うかもしれませんが、、、
必要、大アリです。
なぜなら、その知識を得ることは、
あなたがより良い判断ができるように
なることはもちろん、
あなたが誰かにあなたの判断を
操作されないためにも重要だからです。
ということで。
今回は、その知識の1つとして、
人間の合理的な判断を歪めてしまう
「5つのバイアス」を紹介します。
これらはすべて、あなたの身を守るために、
今すぐに知って欲しい最低限のものです。
後回しせずに今すぐ読んでいって
くださいね。
では、早速。
——————
1.結果バイアス
——————
結果が出るまでの途中のプロセスを
無視して、結果のみで判断してしまったり、
そこまでのプロセスを作話してしまう傾向。
たとえば、株式投資において、
ある銘柄が「2回下がった後に過去最高額に
跳ね返った」という結果を見て、
「今後も2回下がったら過去最高額に跳ね返る」
と考えてしまう等。
実際は、その裏側には何らかの要因があるのに、
単純に結果だけを見て判断をしてしまうという
ことです。
正しい要因を見抜かずに判断を下せば、
ひどい結果が待ち受けていそうですよね^^;
——————
2.確証バイアス
——————
自分の仮説を支持する情報ばかりを集めて、
仮説に反する情報を無視する傾向。
これは多くの人が陥りやすいバイアスの
1つだと言えます。
最近は「勉強なんて不要。Google検索すれば
すぐ調べられる」ということを言う方も多い
ですが、、、
「検索」という行為は、自分が知りたい
情報を集めてしまうものですから、
“最も確証バイアスにハマりやすい行為の
1つ”だと言われていますので要注意です。
——————
3.無意識バイアス
——————
自分自身でも気付いていないような
無意識のうちに持っている偏見や思い込み。
たとえば、
・理系はコミュニケーションが苦手
・男性は女性より体力がある
・高齢者はパソコンが苦手である
といった話です。
このバイアスに陥ると、
「決めつけ」が強くなってしまって
正しい判断ができなくなってしまいます。
——————
4.現状維持バイアス
——————
変化することに対するリターンよりも
失うリスクに過剰に反応してしまい、
無意識に現状維持の意思決定を下すように
なってしまう傾向。
これは認知科学における「ホメオスタシス」
や心理学の「損失回避」といったことでも
説明ができそうな内容です。
人はとにかく得るよりも失うことに
痛みを感じる生き物です。
なので、変化において失うリスクが
生じるのであれば、それを避けるための
情報を集めてしまったりするわけです。
たとえば、スキルも実績もある人が、
「独立したら豊かな人生が待っているかも
しれない(リターン)」と思っているのに、
「路頭に迷うかもしれない(リスク)」
と考えて、独立しない理由ばかりを探して
しまう…なんてことはよくある話かも
しれませんね。
——————
5.生存者バイアス
——————
失敗事例は記録に残らないので、
成功事例のみを評価してしまう傾向。
成功者のエピソードは心惹かれますが、
実際は同じように行動しても同じ成功に
行き着くとは限りません。
というのも、そこには偶然の要素があって、
再現性が限りなく低いかもしれないからです。
ですが、同じような行動を取って
失敗していった人たちのエピソードは
表には出てこないので、知るよしもない
わけです。
このブログでもよく取り上げますが、
生存者バイアスがあるからこそ、
成功者のサクセスストーリーを鵜呑みに
するのは危険だということです。
…さて。
ここまで5つの代表的なバイアスを
紹介してきました。
これ以外にも、
認知バイアス、権威バイアス、正常性バイアス、
希少性バイアス、内集団バイアス、同調バイアス…
等など、すごい数のバイアスがあります。
それだけたくさんの
「人間の合理的判断を歪める要素」
が存在しているということです。
そのすべてを学ぶことは難しいと
思いますが、重要なのは、
「自分はバイアスにかかっている
かもしれない」ということを
認識しておくということです。
たとえば、以前に
「ミラーニューロン」
という言葉を紹介しました。
簡単にいえば、
「人は人から影響を受ける」
ということなわけですが、
この知識を知ったことで
「自分が今までどういった場面で
誰から影響を受けたのか」
ということが見えるようになった人も
多いのではないかと思います。
そして、それが見えるように
なったことで、今まで以上に、
「誰と付き合うか」を考えるように
なった人もいると思います。
(桐生自身がそうです)
何が言いたいかというと、
「知識を得ることは、今まで見えて
いなかったものが見えるようになり、
その結果、行動や判断が変わる」
ということです。
今回の話もそうです。
バイアスというものの存在を知って、
常に「バイアスにかかっているかも
しれない」と考えることで、きっと、
今まで見えていなかった”自分の判断の
歪み”が見えてくるはずです。
そして、その歪みを認識したうえで
判断をしていくことが、”より良い判断”
に繋がっていくということです。
僕らは人間として、バイアスとも
うまく付き合っていきましょう^^
桐生 将人
―参考図書:『人は悪魔に熱狂する 悪と欲望の行動経済学』著:松本 健太郎、出版:毎日新聞出版 (2020/7/11)